建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

  1. 建設業法令遵守ガイドライン
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【建設業法令遵守ガイドライン】帳簿の備付け・保存及び営業に関する図書の保存

令和2年10月の建設業法の改正に伴い「建設業法令遵守ガイドライン」も改訂されました。改訂された部分を中心に、建設業法令遵守のために注意すべき事項を見ていきます。

Case1.建設業を営む営業所に帳簿及び添付書類が備付けられていなかった。
Case2.帳簿及び添付書類は備付けられていたが、5年間保存されていなかった。
Case3.発注者から直接請け負った建設工事の完成図等の営業に関する図書が、10年間保存されていなかった。

Case1.からCase3.いずれの場合も、建設業法第40条の3に違反します。

(帳簿の備付け等)
第四十条の三 建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。

【建設業法上の帳簿とは】
帳簿というと会計帳簿を思う方が多いと思いますが、建設業法第40条の3でいう帳簿は、会計帳簿とは別のものになります。同じものと勘違いされている建設業者が多く、立入検査などで初めて別の物と認識する建設業者もいます。

建設業法上の帳簿は、建設業法施行規則第26条第1項に規定されている事項を記載したものになります。

(帳簿の記載事項等)
建設業法施行規則第26条 法第四十条の三の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 営業所の代表者の氏名及びその者が当該営業所の代表者となつた年月日
二 注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次に掲げる事項
イ 請け負つた建設工事の名称及び工事現場の所在地
ロ イの建設工事について注文者と請負契約を締結した年月日、当該注文者(その法定代理人を含む。)の商号、名称又は氏名及び住所並びに当該注文者が建設業者であるときは、その者の許可番号
ハ イの建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日及び当該建設工事の目的物の引渡しをした年月日
三 発注者(宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者を除く。以下この号及び第二十八条において同じ。)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する次に掲げる事項
イ 当該住宅の床面積
ロ 当該住宅が特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律施行令(平成十九年政令第三百九十五号)第三条第一項の建設新築住宅であるときは、同項の書面に記載された二以上の建設業者それぞれの建設瑕疵かし負担割合(同項に規定する建設瑕疵かし負担割合をいう。以下この号において同じ。)の合計に対する当該建設業者の建設瑕疵かし負担割合の割合
ハ 当該住宅について、住宅瑕疵かし担保責任保険法人(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成十九年法律第六十六号)第十七条第一項に規定する住宅瑕疵かし担保責任保険法人をいう。)と住宅建設瑕疵かし担保責任保険契約(同法第二条第五項に規定する住宅建設瑕疵かし担保責任保険契約をいう。)を締結し、保険証券又はこれに代わるべき書面を発注者に交付しているときは、当該住宅瑕疵かし担保責任保険法人の名称
四 下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する次に掲げる事項
イ 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
ロ イの建設工事について下請負人と下請契約を締結した年月日、当該下請負人(その法定代理人を含む。)の商号又は名称及び住所並びに当該下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号
ハ イの建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日及び当該建設工事の目的物の引渡しを受けた年月日
ニ ロの下請契約が法第二十四条の六第一項に規定する下請契約であるときは、当該下請契約に関する次に掲げる事項
(1) 支払つた下請代金の額、支払つた年月日及び支払手段
(2) 下請代金の全部又は一部の支払につき手形を交付したときは、その手形の金額、手形を交付した年月日及び手形の満期
(3) 下請代金の一部を支払つたときは、その後の下請代金の残額
(4) 遅延利息を支払つたときは、その遅延利息の額及び遅延利息を支払つた年月日
(以下、省略)

帳簿の保存期間は5年と定められています。保存方法については、電磁的記録でも良いとされています。

【帳簿の添付書類】
帳簿を作成し、保存するだけでは不十分です。建設業法施行規則第26条第2項において、帳簿には以下の書類を帳簿に添付して保存することを規定しています。これらの書類も帳簿と同様、電磁的記録での保存が可能です。

建設業法施行規則第26条 (第1項、省略)
2 法第四十条の三に規定する帳簿には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 法第十九条第一項及び第二項の規定による書面又はその写し
二 前項第四号ロの下請契約が法第二十四条の六第一項に規定する下請契約であるときは、当該下請契約に関する同号ニ(1)に掲げる事項を証する書面又はその写し
三 前項第二号イの建設工事について施工体制台帳を作成しなければならないときは、当該施工体制台帳のうち次に掲げる事項が記載された部分(第十四条の五第一項の規定により次に掲げる事項の記載が省略されているときは、当該事項が記載された同項の書類を含む。)
イ 主任技術者又は監理技術者の氏名及びその有する主任技術者資格又は監理技術者資格、監理技術者補佐を置くときは、その者の氏名及びその者が有する監理技術者補佐資格並びに第十四条の二第一項第二号トに規定する者を置くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその者が有する主任技術者資格
ロ 当該建設工事の下請負人の商号又は名称及び当該下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号
ハ ロの下請負人が請け負つた建設工事の内容及び工期
ニ ロの下請負人が置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資格並びにロの下請負人が第十四条の二第一項第四号ヘに規定する者を置くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
(以下、省略)

【営業に関する図書とは】
発注者から直接建設工事を請け負った場合、つまり元請として工事を受注した場合は、営業所ごとに営業に関する図書を、建設工事の目的物の引渡をしたときから10年間保存しなければなりません。帳簿と同様に、電磁的記録による保存が可能です。
営業に関する図書とは、建設業法施行規則第26条第5項に規定された書類をいいます。

建設業法施行規則第26条 (第1項~第4項、省略)
5 法第四十条の三の国土交通省令で定める図書は、発注者から直接建設工事を請け負つた建設業者(作成建設業者を除く。)にあつては第一号及び第二号に掲げるもの又はその写し、作成建設業者にあつては第一号から第三号までに掲げるもの又はその写しとする。
一 建設工事の施工上の必要に応じて作成し、又は発注者から受領した完成図(建設工事の目的物の完成時の状況を表した図をいう。)
二 建設工事の施工上の必要に応じて作成した工事内容に関する発注者との打合せ記録(請負契約の当事者が相互に交付したものに限る。)
三 施工体系図
(以下、省略)

《帳簿に記載する事項》

《帳簿の添付書類》

《営業に関する図書》

以上、中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて(令和2年10月改訂)より

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