建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

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【相談事例】執行役員を経営業務の管理責任者に

今回のご相談は、「執行役員を経営業務の管理責任者にしたい」というご相談です。

相談者様の情報

会社名 Z社様
建設業許可 愛知県知事許可 一般
本社 愛知県
売上高 約200億円

相談内容

Z社様は、お客様のニーズに合わせ、工作機械の設計・製造・販売や、生産設備の移設・据付・設置まで、生産現場にまつわる課題を総合的に解決されている企業様です。建設業許可は、機械器具設置工事業の許可をお持ちです。

Z社様の経営業務の管理責任者の方(T様)が取締役を退任され、執行役員になられることになりました。Z社様は、普段自社で建設業許可の手続きをされていますが、今回は執行役員の立場で経営業務の管理責任者になるという特殊なケースであったため、弊社にご依頼をいただき、サポートをさせていただきました。

まず、経営業務の管理責任者の要件について確認をしておきたいと思います。

経営業務の管理責任者とは?

経営業務の管理責任者(正式には「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの」といいます)に関する詳しい情報は、こちらのブログをご確認ください。

»建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者(経営業務の管理責任者等)とは?

経営業務の管理責任者の要件は、大きく2つの要素で構成されています。それは【現在の地位】と【過去の経験】です。簡単に図に表すと次のようになります。

執行役員の立場で経営業務の管理責任者になるというのは、【過去の経験】をお持ちの方が、【現在の地位】で「これらに準ずる者」に該当する必要があります。

Z社様の事例では、経営業務の管理責任者のT様が、取締役から執行役員に変更となるだけで、そのまま経営業務の管理責任者を継続されるケースであったため、【過去の経験】については特に問題はありませんでした。

「これらに準ずる者」とは?

「これらに準ずる者」とは、法人格のある各種組合等の理事等をいい、執行役員、監査役、会計参与、監事及び事務局長等は原則として含まれませんが、業務を執行する社員、取締役又は執行役に準ずる地位にあって、建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員等が含まれます。

具体的に、執行役員が「これらに準ずる者」と認められるための要件は次の4つです。

    1. 執行役員の地位が業務を執行する社員、取締役又は執行役に次ぐ職制上の地位にあること
    2. 執行役員が業務執行を行う特定の事業部門が建設業に関する事業部門であること
    3. 取締役会の決議により特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として専任されていること
    4. 取締役会の決議により決められた業務執行の方針に従って、特定の事業部門に関して、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念する者であること

これらの要件を満たしていることを証明するための資料として、「組織図」「業務分掌規定」「定款」「執行役員規程」「執行役員職務分掌規程」「取締役会規則」「取締役就業規程」「取締役会の議事録」などの資料の提出が必要です。執行役員は取締役等と異なり、法務局で取得できる会社の登記事項証明書に名前が載りません。そのため、執行役員であることを、会社の規程類で証明することになります。これらの書類が揃わなければ、執行役員の立場で経営業務の管理責任者になることはできません。

なお、執行役員でなくても、理事や部長といった役職でも、上記の要件を満たしている場合は「経営業務の管理責任者」になることができます。

支援の内容

行政書士法人名南経営では、Z社様の経営業務の管理責任者の変更手続きに関して、次のサポートをさせていただきました。

    • 規程類作成のアドバイス及びチェック
    • 変更届出書類のチェック
    • 愛知県(建設事務所)への事前確認

ご相談をいただいてから、変更届出書の提出完了まで、2~3ヶ月ほどでした。執行役員の立場で経営業務の管理責任者になるケースは、取締役会で選任される前に、各種規定類が問題ないかチェックをして、必要に応じて修正をしておかなければなりません。経営業務の管理責任者の変更が生じる前に早めに動く必要があります。

経営業務の管理責任者でお悩みをお持ちの建設業者様は、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。

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