今回取り上げる「通達」は、配置技術者の雇用関係に関するものです。
1.持株会社とは
建設業法の知識ではありませんが、まず「持株会社」がどういう会社なのかを理解しておきましょう。
持株会社とは、他の株式会社を支配(事業を支配)する目的でその会社の株式を保有する会社です。「ホールディングカンパニー」と呼ばれることもあります。持株会社の事業目的は、他の株式会社の株式を多数保有し、その会社の事業活動の指針を決めることになります。
近年、○○ホールディングスや銀行系の●●フィナンシャルグループ等、多くの持株会社があります。
2.技術者の雇用関係
建設業法で「技術者」というと、営業所に常駐する「専任技術者」と現場に出て管理・監督を行う「主任技術者・監理技術者」が出てくるかと思います。
それらの技術者の雇用関係について再度確認をしておきましょう。
まず、専任技術者は常勤が求められていますが、在籍出向者等、建設業者と直接的な雇用関係がない者であっても専任技術者になることはできます。
しかし、主任技術者及び監理技術者は、直接的かつ恒常的な雇用関係が求められています。
直接的な雇用関係とは、第三者が介入する余地のない雇用関係です。そのため、在籍出向者や派遣社員の雇用関係は直接的とは言えません。
※補足※
土木、建設の現場で行われる作業に直接従事する業務に労働者派遣を行うこと及び受け入れることは禁止されています。(具体的な業務内容は「「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」です。」ただし、現場事務所の事務員、CADオペレータ、施工管理業務(工程管理・品質管理・安全管理など)は現場作業には該当しないため、派遣社員でも行うことができるとされています。<労働者派遣法より>
恒常的な雇用関係とは、一定の期間にわたり建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されている雇用関係です。そのため、ある一つの工事期間のみの短期雇用は恒常的とは言えません。また、指名競争入札による公共工事においては、入札申込みのあった日から3ヵ月以上の雇用関係にあることが必要としているケースもあります。
3.雇用関係の例外
主任技術者及び監理技術者の雇用関係は、直接的かつ恒常的でなければならないという事を見てきましたが、実は例外があります。国土交通大臣の認定を受けた企業集団においては、例外的に主任技術者等が出向者であることを認めています。(直接的な雇用関係があるもの、として扱うことを認めています。)
この企業集団については長くなりますので、次回改めて取り上げます。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。