今回は施工体制台帳の作成関する通達を取り上げますが、一般的なルールについては条文解説等でも取り上げておりますので割愛します。
ただし、この通達は施工体制台帳の作成等を行う際の指針となるものですので、元請として工事を行う建設業者の方にはぜひ全文を一読いただきたいと思います。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001389111.pdf
1.下請負人に関する通知について
施工体制台帳の作成義務があるのは元請負人ですが、下請契約を締結した下請負人が下請負人の請け負った建設工事を他の建設業者に請け負わせたときには、「再下請負通知」を行わなければなりません。その際、下請負人の作成する書類が「再下請負通知書」です。
(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)
第二十四条の八
2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負つた建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。
再下請負通知は、原則書面で行うこととなっています。しかし、例外的に電磁的方法により通知が可能となっています。電磁的方法が認められるためには、電磁的方法の種類や内容を示し、あらかじめ下請負人の承諾を得ることが必要です。
(下請負人に対する通知等)
第十四条の三
5 建設業者は、第二項の規定により第一項各号に掲げる事項を通知しようとするときは、あらかじめ、当該下請負人に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
一 第二項各号に規定する方法のうち建設業者が使用するもの
二 ファイルへの記録の方式
2.施工体制台帳の作成方法
施工体制台帳は、記載すべき事項や添付書類については規定されていますが、様式や作成方法については明確な規定はありません。そのため、施工体制台帳は一冊に整理されていることが望ましいとされていますが、それぞれの書類等の関係を明らかにして、分冊により作成しても差し支えありません。
また、施工体制台帳に記載すべき事項として定められている項目が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録することも認められています。ただしその場合は、必要に応じて工事現場において電子計算機その他の機器を用いて、明確に紙面に表示することができなければなりません。電子的な記録については、施工体制台帳に添付する書類についても同様の取扱いとなります。
(施工体制台帳の記載事項等)
第十四条の二 法第二十四条の八第一項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 作成建設業者(法第二十四条の八第一項の規定(公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号。次項第一号において「入札契約適正化法」という。)第十五条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)により施工体制台帳を作成する場合における当該建設業者をいう。以下同じ。)に関する次に掲げる事項
イ 許可を受けて営む建設業の種類
ロ 健康保険法第四十八条の規定による被保険者の資格の取得の届出、厚生年金保険法第二十七条の規定による被保険者の資格の取得の届出及び雇用保険法第七条の規定による被保険者となつたことの届出の状況(第三号ハにおいて「健康保険等の加入状況」という。)
二 作成建設業者が請け負つた建設工事に関する次に掲げる事項
イ 建設工事の名称、内容及び工期
ロ 発注者と請負契約を締結した年月日、当該発注者の商号、名称又は氏名及び住所並びに当該請負契約を締結した営業所の名称及び所在地
ハ 発注者が監督員を置くときは、当該監督員の氏名及び法第十九条の二第二項に規定する通知事項
ニ 作成建設業者が現場代理人を置くときは、当該現場代理人の氏名及び法第十九条の二第一項に規定する通知事項
ホ 主任技術者又は監理技術者の氏名、その者が有する主任技術者資格(建設業の種類に応じ、法第七条第二号イ若しくはロに規定する実務の経験若しくは学科の修得又は同号ハの規定による国土交通大臣の認定があることをいう。以下同じ。)又は監理技術者資格及びその者が専任の主任技術者又は監理技術者であるか否かの別
ヘ 法第二十六条第三項ただし書の規定により監理技術者の行うべき法第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者(以下「監理技術者補佐」という。)を置くときは、その者の氏名及びその者が有する監理技術者補佐資格(主任技術者資格を有し、かつ、令第二十八条第一号に規定する国土交通大臣が定める要件に該当すること、又は同条第二号の規定による国土交通大臣の認定があることをいう。次項第三号及び第二十六条第二項第三号イにおいて同じ。)
ト 法第二十六条の二第一項又は第二項の規定により建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者でホの主任技術者若しくは監理技術者又はヘの監理技術者補佐以外のものを置くときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその者が有する主任技術者資格
チ 建設工事に従事する者に関する次に掲げる事項(建設工事に従事する者が希望しない場合においては、(6)に掲げるものを除く。)
(1) 氏名、生年月日及び年齢
(2) 職種
(3) 健康保険法又は国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)による医療保険、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)又は厚生年金保険法による年金及び雇用保険法による雇用保険(第四号チ(3)において「社会保険」という。)の加入等の状況
(4) 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)第二条第七項に規定する被共済者に該当する者(第四号チ(4)において単に「被共済者」という。)であるか否かの別
(5) 安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容
(6) 建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格
リ 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)別表第一の二の表の特定技能の在留資格(同表の特定技能の項の下欄第一号に係るものに限る。)を決定された者(第四号リにおいて「一号特定技能外国人」という。)、同表の技能実習の在留資格を決定された者(第四号リにおいて「外国人技能実習生」という。)及び同法別表第一の五の表の特定活動の在留資格を決定された者であつて、国土交通大臣が定めるもの(第四号リにおいて「外国人建設就労者」という。)の従事の状況
三 前号の建設工事の下請負人に関する次に掲げる事項
イ 商号又は名称及び住所
ロ 当該下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号及びその請け負つた建設工事に係る許可を受けた建設業の種類
ハ 健康保険等の加入状況
四 前号の下請負人が請け負つた建設工事に関する次に掲げる事項
イ 建設工事の名称、内容及び工期
ロ 当該下請負人が注文者と下請契約を締結した年月日
ハ 注文者が監督員を置くときは、当該監督員の氏名及び法第十九条の二第二項に規定する通知事項
ニ 当該下請負人が現場代理人を置くときは、当該現場代理人の氏名及び法第十九条の二第一項に規定する通知事項
ホ 当該下請負人が建設業者であるときは、その者が置く主任技術者の氏名、当該主任技術者が有する主任技術者資格及び当該主任技術者が専任の者であるか否かの別
ヘ 当該下請負人が法第二十六条の二第一項又は第二項の規定により建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる者でホの主任技術者以外のものを置くときは、当該者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
ト 当該建設工事が作成建設業者の請け負わせたものであるときは、当該建設工事について請負契約を締結した作成建設業者の営業所の名称及び所在地
チ 建設工事に従事する者に関する次に掲げる事項(建設工事に従事する者が希望しない場合においては、(6)に掲げるものを除く。)
(1) 氏名、生年月日及び年齢
(2) 職種
(3) 社会保険の加入等の状況
(4) 被共済者であるか否かの別
(5) 安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容
(6) 建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格
リ 一号特定技能外国人、外国人技能実習生及び外国人建設就労者の従事の状況
2 施工体制台帳には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 前項第二号ロの請負契約及び同項第四号ロの下請契約に係る法第十九条第一項及び第二項の規定による書面の写し(作成建設業者が注文者となつた下請契約以外の下請契約であつて、公共工事(入札契約適正化法第二条第二項に規定する公共工事をいう。第十四条の四第三項において同じ。)以外の建設工事について締結されるものに係るものにあつては、請負代金の額に係る部分を除く。)
二 前項第二号ホの主任技術者又は監理技術者が主任技術者資格又は監理技術者資格を有することを証する書面(当該監理技術者が法第二十六条第五項の規定により選任しなければならない者であるときは、監理技術者資格者証の写しに限る。)及び当該主任技術者又は監理技術者が作成建設業者に雇用期間を特に限定することなく雇用されている者であることを証する書面又はこれらの写し
三 監理技術者補佐を置くときは、その者が監理技術者補佐資格を有することを証する書面及びその者が作成建設業者に雇用期間を特に限定することなく雇用されている者であることを証する書面又はこれらの写し
四 前項第二号トに規定する者を置くときは、その者が主任技術者資格を有することを証する書面及びその者が作成建設業者に雇用期間を特に限定することなく雇用されている者であることを証する書面又はこれらの写し
3 第一項各号に掲げる事項が電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じ当該工事現場において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて法第二十四条の八第一項に規定する施工体制台帳への記載に代えることができる。
4 第二項各号に掲げる添付書類の記載事項がスキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により、電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等に記録され、必要に応じ当該工事現場において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもつて当該添付書類に代えることができる。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。