今回も引き続き施工体制台帳の作成関する通達を取り上げますが、前回同様に一般的なルールについては条文解説等でも取り上げておりますので割愛します。
ただし、この通達は施工体制台帳の作成等を行う際の指針となるものですので、元請として工事を行う建設業者の方にはぜひ全文を一読いただきたいと思います。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001389111.pdf
1.施工体制台帳を作成すべき時期
みなさん施工体制台帳はいつ作成されていますか。作成時期について、特に気にしたことは無かったとおっしゃる方が多いかもしれません。弊社のお客様からはよく、施工体制台帳は「いつまでに」、「いつ」作成すべきなのか?と質問をいただきます。
作成時期については明確にいつ、という規定はありません。建設業法施行規則第14条の5第3項で「事実が生じ、又は明らかになったときに、遅滞なく」作成しなければならないと規定されています。着工前までに作成という規定は無いので、必ずしも着工前に施工体制台帳がすべて完成している必要はない、とも読み取れます。
(施工体制台帳の記載方法等)
第十四条の五
3 作成建設業者は、第十四条の二第一項各号に掲げる事項の記載並びに同条第二項各号に掲げる書類及び第一項後段に規定する書類の添付を、それぞれの事項又は書類に係る事実が生じ、又は明らかとなつたとき(同条第一項第一号に掲げる事項にあつては、作成建設業者に該当することとなつたとき)に、遅滞なく、当該事項又は書類について行い、その見やすいところに商号又は名称、許可番号及び施工体制台帳である旨を明示して、施工体制台帳を作成しなければならない。
また、当初は施工体制台帳の作成義務が生じない工事だったものが、追加工事が発生する等で下請契約を増額して施工体制台帳を作成義務が生ずる事があります。その場合、当然のこととして施工作成台帳を作成する必要があり、作成時期については同様に事実が発生したときに遅滞なく作成をするようにしてください。
2.記載事項等の変更について
作成した施工体制台帳について、工期の延長等により記載内容に変更が生ずる事があります。その場合、すでに作成した施工体制台帳の記載部分に変更を書き加えるだけで問題ありません。その際、変更事項に加えて変更が生じた年月日も一緒に記載しておくようにしてください。そして、変更事項を記載する時期も、同様に事実が発生したときに遅滞なく記載するようにします。
また、施工体制台帳の記載内容の変更に伴い、施工体制台帳の添付書類に変更が生ずる事もあります。その場合は、変更後の書類もあわせて添付しておく必要があります。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。