今回は施工体系図の作成についても見ておきたいと思います。前回同様に一般的なルールについては条文解説等でも取り上げておりますので割愛します。
ただし、この通達は施工体制台帳の作成等を行う際の指針となるものですので、元請として工事を行う建設業者の方にはぜひ全文を一読いただきたいと思います。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001389111.pdf
1.施工体系図を作成すべき時期
施工体系図は、作成した施工体制台帳を要約したもので、一目で施工関係が確認できるものになります。
施工体系図の作成の時期については明確な規定はありませんが、施工体系図の目的や役割を考えると、下請業者の工事着工までには作成をすると良いと考えます。(施工体制台帳の作成と同時に作成していただければ確実だと思いますが・・・)
また、工事が進むにつれ、追加工事が発生することや工期の延長等、工事の内容に変更を生じ下請負人が変更になることがあります。その場合、速やかに施工体系図を変更して表示しておく必要があります。変更内容を表示することを忘れないようにご注意ください。
2.施工体系図の作成ついての注意点
施工体系図の作成について、注意すべき事項を2つ取り上げます。
①「建設工事の内容」に記載する内容
施工体系図には、各下請業者の情報に合わせて「建設工事の内容」を記載すべき欄があります。そこには、建設工事の具体的な内容が把握できるように工事の種類の名称を記載します。
建設工事の業種ではないことにご注意ください。
②施工体系図の様式
建設工事において、労働安全等の目的で図面(関係図)を作成することがあります。施工体系図を、その図面と兼ねることは可能ですが、その場合には建設業法施行規則に定められている記載すべき事項を網羅している必要があります。
(施工体系図)
第十四条の六 施工体系図は、第一号及び第二号に掲げる事項を表示するほか、第三号及び第四号に掲げる事項を第三号の下請負人ごとに、かつ、各下請負人の施工の分担関係が明らかとなるよう系統的に表示して作成しておかなければならない。
一 作成建設業者の商号又は名称
二 作成建設業者が請け負つた建設工事に関する次に掲げる事項
イ 建設工事の名称及び工期
ロ 発注者の商号、名称又は氏名
ハ 当該作成建設業者が置く主任技術者又は監理技術者の氏名
ニ 監理技術者補佐を置くときは、その者の氏名
ホ 第十四条の二第一項第二号トに規定する者を置くときは、その者の氏名及びその者が管理をつかさどる建設工事の内容
三 前号の建設工事の下請負人で現にその請け負つた建設工事を施工しているものに関する次に掲げる事項(下請負人が建設業者でない場合においては、イ及びロに掲げる事項に限る。)
イ 商号又は名称
ロ 代表者の氏名
ハ 一般建設業又は特定建設業の別
ニ 許可番号
四 前号の請け負つた建設工事に関する次に掲げる事項(下請負人が建設業者でない場合においては、イに掲げる事項に限る。)
イ 建設工事の内容及び工期
ロ 特定専門工事(法第二十六条の三第二項に規定する「特定専門工事」をいう。第十七条の六において同じ。)の該当の有無
ハ 下請負人が置く主任技術者の氏名
ニ 第十四条の二第一項第四号ヘに規定する者を置くときは、その者の氏名及びその者が管理をつかさどる建設工事の内容
3.施工体制台帳の据置き及び施工体系図の掲示
建設業法において、施工体制台帳は現場に据え置くこととなっております。また、施工体系図は現場の見やすいところ等に掲示することとなっております。これらの据置きや掲示は、原則として、発注者から請負った建設工事の目的物を発注者に引き渡すまで行う必要がありますのでご注意ください。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。