令和2年7月、中央建設業審議会において作成された「工期に関する基準」を、数回に分けて詳しく見ていきます。
工程とは
工期は大きく分けると、「準備」・「施工」・「後片付け」の3つの工程に分けることができます。そしてそれぞれの工程ごとに、適正な工期を設定するために考慮すべき事項がまとめられています。
ただし、すべての工事においてすべての事項を考慮しなければならないというものではなく、工事の工程や性質に応じて適切に考慮すればよいものであることに注意してください。
1つ目の工程「準備」
工事を始める前には当然「準備」が必要ですが、準備の中で工期に影響を及ぼす事項として考えられることは、「資材や機材などの材料調達や現場で働く人材の確保」や「調達した材料等を保管・管理する方法や工事とは直接的に影響しない現場の周辺設備」について等があります。
材料調達と人材確保
材料の調達が工期に影響を及ぼすことがあるとすれば、工事で実際に使用する状態にまで準備された資材を調達することに時間を要する場合が考えられます(例えばコンクリート。コンクリートは試験練りを行う必要があるため、その期間を含めた調達期間を把握する必要がある。)。
建設業界では人手不足が深刻な問題となっていることもあり、人材確保には苦労するケースも多々あると考えられます。工事現場の地域(例えば、周りは木々や山々に囲まれたような場所)や現場の作業内容によっては作業できる人材が少ないような場合です。
また、人材確保のために工事現場から遠方の建設業者に依頼することとなると、近隣業者で工事を行えば不要な宿泊費や高速道路代などの経費がかさむことに繋がります。
材料の管理や設備
工事現場に、調達した材料を保管する十分な場所を確保できない場合もあります。その場合には、材料を運搬する工数を含めて工期設定をしなければなりません。
他にも、現場環境を整えるため現場に事務所を構える場合には、その設置期間も準備期間として工期に含めます。さらには現場周辺に、仮設道路や進入路を設けなければならないこともあると思いますので、その設置期間も考慮する必要があります。
他にも・・・
工事着手前に、現場の地質調査を行うなど事前調査・試験を行うことも準備に含まれるため、調査等を行いその結果が出るまでの期間も考慮しなければなりません。
他にも、工事そのものに着手する前に行うものは「準備」として工期設定に十分考慮が必要です。
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行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。