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  1. 建設業法令遵守ガイドライン
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【建設業法令遵守ガイドライン】書面による契約締結~追加工事等に伴う追加・変更契約~

令和2年10月の建設業法の改正に伴い「建設業法令遵守ガイドライン」も改訂されました。改訂された部分を中心に、建設業法令遵守のために注意すべき事項を見ていきます。

Case1.下請工事に関し追加工事等が発生したが、元請負人が書面による変更契約を行わなかった。

Case2.下請負人の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請工事の工期が当初契約の工期より短くなり、残された工期内に工事を完了させるため労働者の増員等が必要となった場合に、下請負人との協議にも応じず、元請負人の一方的な都合により変更の契約締結を行わなかった。

Case1.、Case2.いずれの場合も、建設業法第19条第2項に違反します。

建設工事の請負契約の内容
第十九条 (第一項省略)
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
(以下、省略)

建設業法第19条は、契約締結に関するルールが規定されています。第1項は当初契約に関する規定でしたが、第2項は契約締結後に生じた変更等に関するスースが規定されています。

【ルール1】追加工事等の契約も、着工前に書面で行う
追加工事等により変更契約を締結する場合も、当初契約と同様のルール・方法で締結しなければなりません。
建設業法上、書面契約を義務付けている理由として「紛争防止」があります。当初契約は書面で行ったものの、変更契約で口約束となってしまっては、後日紛争に繋がりかねません。そのため当初契約と同様に、原則として着工前に書面で変更契約を締結することと規定されています。

【ルール2】内容が直ちに確定できない場合の対応について
追加工事等は着工後に発生するものです。当初予定していた工事ではないため、工事の状況によっては追加工事全体に要する数量等、追加工事着工前の時点では、まだ内容が確定できないこともあります。そのような場合に、確定するまで工事をストップさせるというのは合理的ではありません。また、確定できない故、何度も数量の増減が生じその都度変更契約を締結することも合理的ではありません。
このような場合、追加工事の着工前には以下の事項を記載した書面を取り交わすことで良いとしています。ただし、追加工事等の数量等が確定した時点で、遅滞なく変更契約を締結しなければなりません。

1.下請負人に追加工事等として施工依頼する工事の具体的な作業内容
2.当該追加工事等が契約変更の対象となること及び契約変更等を行う時期
3.追加工事等に係る契約単価の額

【ルール3】合理的な理由なく下請工事の変更契約を行わないことは禁止
元請負人が、合理的な理由もなく一方的に変更契約を締結しないということを禁止しています。

Case3.納期が数カ月先の契約を締結し、すでに契約金額が確定しているにもかかわらず、実際の納入時期における資材価格の下落を踏まえ、下請負人と変更契約を締結することなく、元請負人の一方的な都合により、取り決めた代金を減額した。

Case3.の場合、建設業法第19条の3に違反します。

(不当に低い請負代金の禁止)
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

【ルール4】追加工事等の費用を下請負人に負担させることは禁止
追加工事を施工したことで下請契約の工事代金が増加することは当然ありますが、その増加分を下請負人にだけ負担させることは禁止しています。
「通常必要と認められる原価」に満たない金額で下請負人に工事を施工させることは、不当に低い請負代金の禁止を定めている建設業法第19条の3に違反することとなります。適正な金額で追加・変更契約を締結することが必要です。

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