引き続き、全国の建設業許可申請の手引きを見ていきたいと思います。弊社の本社は愛知県にあり、お客様も同じエリアに集中しています。そのため手にする、目にする手引きというものが愛知県や中部地方整備局の手引きに偏ります。このブログを読んでいただいている方は全国にいらっしゃいますので、「私自身が全国的な視点を持とう」と思い、全国の手引きを見ています。
建設業許可の要件等は建設業法関連法令に規定されているため、全国を見ても違いはありませんが、要件確認資料の種類や要件や専門用語の説明の仕方等に違いがありますので、取り上げるのはそのような点になります。いろいろな手引きを見ることは参考になると思いますのでご紹介させていただきます。
今回も東北エリアの知事許可申請の手引きを見ていきます。
1.過去経験の常勤性確認がある
建設業許可の要件では、常勤役員等(経営業務の管理責任者)及び専任技術者が常勤であることが求められています。この常勤性は、申請時「現在」において常勤であることの確認がされています。(一般的には、申請時に常勤性の確認として健康保険被保険者証の写しを提示していると思います。)
宮城県の手引きを見たところ、実務経験を証明して専任技術者となる場合には、実務経験期間(つまり「過去」)の常勤性の確認をすることになっています。実務経験期間を積んだ数年間の期間も常勤であったことが証明できないと、実務経験として認められないという事になります。ずっと同じ会社で勤務し経験を積み重ねてきた方ならまだしも、複数社での経験を合算しようとすると、証明することが困難(不可能なケースもあるのでは?)と申請実務を行う目線からはそう感じてしまいました。
一方で、常勤役員等の過去経験期間については、特に常勤性を確認する資料の提出を求めていません。(手引きには記載がありません。)取締役等の登記されている期間が経験期間として見るようで、謄本や建設業許可申請書・変更届出書等で期間を確認します。
ただし、常勤役員等の過去の常勤確認は行わないだけで取扱いとしては「常勤としての経験」しか認めていないという事があるため、宮城県へ申請する際には事前に確認をすることをおすすめします。
2.許可更新時の財産的要件の確認
特定建設業許可の場合、申請直前の決算の内容で要件確認をすることはみなさん周知のことと思います。ここでは、特定建設業許可ではなく一般建設業許可の財産的要件について少し触れておきます。
というのも、私が(一度も指摘が無いのでおそらく窓口も)特に気にせずスルーをしていたことがあったので、あえて取り上げておきます。
一般建設業許可の財産的要件の確認方法として「直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること」という項目があるのはご存知でしょうか。一般建設業許可の場合、1回更新申請をしてしまえば、許可を受けて建設業を営んでいれば財産的要件を満たしているという事です。
ただし、注意が必要なのが「直前5年間許可を受けて」という言葉です。建設業許可の更新が1回目の建設業者は、更新申請時の時点では、まだ許可を受けて5年間の営業実績が無いのです。建設業許可を持って継続営業をしていることで要件を満たすのは1度更新申請を行った建設業者のみとなります。(そのため、初めての更新申請の際には新規申請時と同様に500万円以上の自己資本がある、もしくは500万円以上の融資調達能力があることが確認されます。)
恥ずかしながら一般建設業許可の更新申請の際には、特に財産的要件を気にせず申請をしていました・・・
宮城県の手引きには、この点がしっかり記載されております。手引きは隅々までしっかり読むことが重要だと気付かされました。
3.窓口へ持参かつ窓口で受取り
宮城県は申請については郵送不可としています。必ず窓口へ持参し申請をすることになっています。また、許可が出た際には窓口へ行き許可通知書を窓口で受け取るそうです。
窓口の申請には時間を要し、混雑が予想されます。宮城県も申請予約を推奨しておりますので、申請の前には事前予約をしておくことをおすすめします。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。