引き続き、全国の建設業許可申請の手引きを見ていきたいと思います。弊社の本社は愛知県にあり、お客様も同じエリアに集中しています。そのため手にする、目にする手引きというものが愛知県や中部地方整備局の手引きに偏ります。このブログを読んでいただいている方は全国にいらっしゃいますので、「私自身が全国的な視点を持とう」と思い、全国の手引きを見ています。
建設業許可の要件等は建設業法関連法令に規定されているため、全国を見ても違いはありませんが、要件確認資料の種類や要件や専門用語の説明の仕方等に違いがありますので、取り上げるのはそのような点になります。いろいろな手引きを見ることは参考になると思いますのでご紹介させていただきます。
茨城県知事許可の手引きに関しては今回が最後となります。
1.建設リサイクル法について
建設業法の関連法として「建設リサイクル法」があります。建設リサイクル法は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者についての登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です。
軽微な解体工事を施工する場合、建設業許可は不要ですが、建設リサイクル法による解体工事業者としての登録を受けなければなりません。
※土木工事業、建築工事業、解体工事業の許可を持っている建設業者は登録不要です。
2.分別解体等の義務付け
建設リサイクル法の対象となる工事は、特定の建設資材を用いた一定規模以上の建設工事であり、具体的には下表のとおりです。
建設リサイクル法の対象となる工事を施工する場合は、一定の技術基準に従って分別解体することが義務付けられています。一定の技術基準とは下表のとおりです。
引用:茨城県「建設業経営者研修テキスト」(上記2点、同じ)
対象工事を基準に従って実施していただく前に、もう1点義務があります。それは、建設リサイクル法対象工事を施工することを、工事着工の7日前までに知事等(工事によって提出先が異なる場合があります。)へ届出をする必要があります。
3.アスベスト等が使用されている解体工事
アスベスト(石綿)が含まれている建築物等の解体工事を施工する場合、建設リサイクル法以外の法律も確認し作業を行う必要があります。確認しておいていただきたい法律は以下の2点で、アスベスト等の飛散防止対策が義務付けられています。
①労働安全衛生法
②大気汚染防止法
建設リサイクル法では、①及び②の対策を取っていただくだけでなく、
● 対象建築物等に関する調査で、アスベスト等の有無についても調査する
● 事前調査の結果に基づき分別解体等の計画を策定し、アスベスト等の有無、アスベスト等の付着物の除去その他の措置等についても検討する
● 工事の届出にあたっては、届出書にアスベスト等の有無、事前措置の内容等を記載する
● 分別解体等の計画に基づき、事前措置及び分別解体等を適正に行う
以上の措置を取っていただくことも必要です。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。