引き続き、全国の建設業許可申請の手引きを見ていきたいと思います。
弊社の本社は愛知県にあり、お客様も同じ愛知県周辺エリアに集中しています。そのため手にする、目にする手引きというものが愛知県や中部地方整備局の手引きに偏ります。このブログを読んでいただいている方は全国にいらっしゃいますので、「私自身が全国的な視点を持とう」と思い、全国の手引きを見ています。
建設業許可の要件等は建設業法関連法令に規定されているため、全国を見ても違いはありませんが、要件確認資料の種類や要件や専門用語の説明の仕方等に違いがありますので、取り上げるのはそのような点になります。いろいろな手引きを見ることは、より建設業許可や建設業法のより深い理解への参考になると思いますのでご紹介させていただきます。
今回も引き続き、千葉県知事許可の手引きを見ていきます。
1.建設業許可に関するよくある質問
千葉県では「建設業許可に関するよくある質問と回答」が20ページほどにまとめられています。その中から、ご紹介したいもの・覚えておいて欲しいもの・再確認していただきたいものをピックアップして説明いたします。
まず建設業許可に関する一般的な事項です。
建設業許可が無くても請け負える工事は「軽微な建設工事」ですが、その定義は建築一式工事以外は請負代金が500万円未満の工事、建築一式工事の場合は請負代金が1,500万円未満または延べ床面積が150㎡未満の木造住宅の工事であることは問題ないと思います。
軽微な建設工事に該当するか否かは「請負代金」によって判断することになりますが、この「請負代金」の考え方まで押さえておく必要があります。
①消費税込みの金額で判断する(これは基本です!)
②注文者が材料を提供する場合は、材料の市場価格と運送費を加えた額で判断する
③同一の者が工事の完成を2つ以上の契約に分割したとしても合計で判断する
④元請工期が長く、その間に何本もの下請契約を交わした場合は、すべてを合計した額で判断する
※工事の種類が異なっても発注者が同一なら1件の工事とする
いずれも重要な考え方なので、覚えておくようにしましょう。
2.人工出し
以前のブログでも「人工出し」については触れましたが、人工出しは建設業界で蔓延している悪しき行為なので改めて取り上げたいと思います。
工事現場に人を派遣する行為、労働力(人手)のみを提供する行為、職人を貸す行為、これらの行為はいずれも「人工出し」に該当し、建設工事の請負には該当しません。(そのため建設工事の実績として認められません。)人工出しの行為は、「労働者派遣」に該当します。
労働者派遣は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(いわゆる、「労働者派遣法」のことです。)によって派遣が禁止されている業種があります。そのうちの1つが建設業です。建設工事の現場作業を行う者については、派遣が禁止されています。
そのため、人工出しは違法行為となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が適用されます。
もし、現状、人工出しを行っている業者があれば、今すぐ建設工事の請負契約(工事の完成に対して報酬を支払う契約)に切り替えていただくようにお願いいたします。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。