引き続き、全国の建設業許可申請の手引きを見ていきたいと思います。
弊社の本社は愛知県にあり、お客様も同じ愛知県周辺エリアに集中しています。そのため手にする、目にする手引きというものが愛知県や中部地方整備局の手引きに偏ります。このブログを読んでいただいている方は全国にいらっしゃいますので、「私自身が全国的な視点を持とう」と思い、全国の手引きを見ています。
建設業許可の要件等は建設業法関連法令に規定されているため、全国を見ても違いはありませんが、要件確認資料の種類や要件や専門用語の説明の仕方等に違いがありますので、取り上げるのはそのような点になります。いろいろな手引きを見ることは、より建設業許可や建設業法のより深い理解への参考になると思いますのでご紹介させていただきます。
今回で神奈川県知事の手引きは最後になります。
1.機械器具設置工事の経験
機械器具設置工事とは、機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事です。代表的な例が、エレベータ設置工事やプラント設備工事です。機械を設置する工事がすべて機械器具設置工事に該当する訳では無いので注意が必要です。
機械器具設置工事の経験を証明する際には、正しく業種判断がされていることは当然のこととして、その判断が正しいことを証明する必要があります。神奈川県では、機械器具設置工事の経験については、契約書等に加え工事の内容が確認できる資料として「工程表・見積書・内訳書・仕様書・図面の写し・写真・パンフレット等」を求めています。さらに、事前相談をするように求めています。
なぜなら、工事の名称だけでは作業内容が分からないことが多く、簡単に判断ができないためです。我々もお客様から機械器具設置工事業の許可が取りたいと相談を受けた際には、機械の詳細がわかるものをお願いし、作業内容をヒアリングして判断しています。
「機械の設置」を行っているということだけで機械器具設置工事と判断しないようにしましょう。
2.社保の適用除外
現在、適切な社会保険の加入が建設業許可の要件になっていることはご存知のことと思います。そのため、「適用除外」となるケースについては、神奈川県でも「申立書」の添付が求められています。この申立書には、適用除外となる理由を、最寄りの年金事務所又は公共職業安定所に確認し記載する必要があります。(他の資料等から、適用除外の理由が明確な場合は除きます。)
適用除外に該当する場合は、以下の表で申立書の準備が必要か確認できます。
ちなみに、この表で注意が必要なのは「この理由では適用除外にはならない」ケースに該当するときです。つまり、言い換えれば加入義務があるということになります。
<適用除外の理由と申立書の要否>
3.営業所の確認
営業所の確認については許可行政庁によって異なることを以前にもお伝えしました。
神奈川県では、営業所に「独立性」を求めているようです。そのため、他社と同一フロアに入居している等の場合、建設業を営む営業所が分離独立されていることを確認できる見取り図の提出が必要です。
例えば、社長の自宅に営業所を設けているような場合には、営業所の事務室部分と住居部分が明確に区分されている必要があります。また、他社と建物やフロアを共有している場合には、部屋が別々であることもしくは同一部屋の場合は固定されてパーテーションで区切られていることにより、他社と明確に分離独立していることを示さなければなりません。
営業所については、許可行政庁ごと要件が異なりますので、一度確認いただくと良いと思います。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。