引き続き、全国の建設業許可申請の手引きを見ていきたいと思います。
弊社の本社は愛知県にあり、お客様も同じ愛知県周辺エリアに集中しています。そのため手にする、目にする手引きというものが愛知県や中部地方整備局の手引きに偏ります。このブログを読んでいただいている方は全国にいらっしゃいますので、「私自身が全国的な視点を持とう」と思い、全国の手引きを見ています。
建設業許可の要件等は建設業法関連法令に規定されているため、全国を見ても違いはありませんが、要件確認資料の種類や要件や専門用語の説明の仕方等に違いがありますので、取り上げるのはそのような点になります。いろいろな手引きを見ることは、より建設業許可や建設業法のより深い理解への参考になると思いますのでご紹介させていただきます。
今回は福井県の手引きです。
1.営業所調査とは
前回の石川県に続き、福井県でも申請の場合には営業所の調査が行われています。この調査では、経営業務の管理責任者や専任技術者の常勤性を確認し、加えて、営業所の実態も確認しています。そのため、すべての申請においてこの調査が実施されるわけではなく、新たな経営業務の管理責任者や専任技術者がいる場合に限られています。あくまでも、営業所調査は「申請」とセットなので、変更届によって例えば専任技術者が交代しても、この調査は実施されないということになります。
営業所調査では、次の書類等を確認されます。
・専任技術者の資格証の原本
・経営業務の管理責任者及び専任技術者の保険証等の原本
・賃金台帳
・出勤簿
・営業所に設置されている電話
・経営業務の経験年数及び実務経験を確認できる書類(契約書等)
2.【参考】経営業務の管理責任者の経営経験
経営業務の管理責任者は、一定の建設業の経営経験が求められていることはご存知の通りだと思いますが、改めて整理をしたいと思います。経営業務の管理責任者の要件は、建設業法施行規則に次のとおり定められています。
建設業法施行規則第7条
法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
ロ 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあつては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあつては当該建設業を営む者における五年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1) 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2) 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。
福井県の手引きには、この要件がシンプルにわかりやすく図示されていますので紹介します。
これを見ると、基本は5年間の経営経験で良いことがわかりますが、イ(3)の補佐経験だけは6年間の経営経験が必要であることが一目瞭然です。また、この図を見ながら、経営業務の管理責任者の候補者が要件を満たすか、どの経験に該当するか確認していただくと良いと思います。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。