昨年末から今年にかけ、複数の建設業者において、技術検定に係る実務経験証明書の不正が発覚するという事案がありました。いずれも、実務経験を充足していない状況で技術検定を受検し施工管理技士の資格を不正に取得した、という内容で国土交通省への報告が行われています。
実務経験不備のパターン
国土交通省の技術検定不正受検防止対策検討会の資料によると、実務経験不備のパターンは、次の3つに大別されるとのことです。
①実務経験が認められない工事内容
技術検定の「手引き」には、それぞれの技術検定において、実務経験として認める工事種別・工事内容・業種等、実務経験として認められない工事種別・工事内容・業種等が明示されているが、実務経験の申請において、実務経験として認められない工事種別・工事内容・業種等に合致する内容を実務経験として申請しているケースがある。
②実務経験の重複
技術検定では、複数の工種が含まれる工事の実務経験は、いずれかの工種の実務経験として算定することとなっているが、複数の技術検定の実務経験として、重複した実務経験として申請しているケースがある。
③計上できない工種の実務経験(下請に出している場合の実務経験)
土木・建築工事等を請け負った場合、電気工事等の専門工事を自社で施工せず、下請に出した場合、当該工事の実務経験は土木又は建築工事としての実務経験としては計上できるが、電気工事等の専門工事の実務経験としては計上することができないが、これを電気工事等の実務経験として申請しているケースがある。
不正の発生原因
企業による資格取得の推進が背景となっており、受検者が実務経験要件を十分に認知、確認せずに申請受検していること、また、企業における実務経験の証明者も、実務経験要件を十分に認知せず、管理・チェック体制も不十分であったことが原因と考えられています。
対策は?
実務経験を充足していない状況で技術検定を受検し施工管理技士の資格を不正に取得するということを防ぐためには、次の2つの対策が考えられます。
①社内チェック体制の強化
②実務経験の可視化
人事記録や工事記録等の一目で確認できる資料の作成と、その資料に基づいて実務経験証明書を確認するなど、チェック体制を強化しておく必要があります。
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行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。