国土交通省の中央建設工事紛争審査会で、各都道府県審査会も含めた令和2年度の紛争処理状況が発表されましたので見ていきたいと思います。
令和2年度の全国の紛争処理状況
※以下添付の資料は、全て国土交通省「建設工事紛争取扱状況(令和2年度)」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001415919.pdf)より抜粋したものです。
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- 全国の紛争処理状況については、申請件数は121件でした。
- 全国の申請件数121件を当事者類型別にみると、個人発注者から請負人への請求が最も多く39件でした。
- 工事種類別でみると、建築工事が最も多く83件でした。次いで、土木工事が21件、設備工事が7件、電気工事が6件、その他が4件という結果です。
- 紛争類型別でみると、「工事代金の争い」が40件、次いで「工事瑕疵」が36件でした。
- 全国の紛争処理状況については、申請件数は121件でした。
建設工事紛争審査会とは?
中央建設工事紛争審査会とは、建設工事の請負契約をめぐる紛争の簡易・迅速・妥当な解決を図るための公的機関です。建設業法に基づいて国土交通省及び各都道府県に設置されている裁判外紛争処理機関です。
建設工事の請負契約に関する紛争は、「工事に雨漏りなどの欠陥(瑕疵)があるのに補修してくれない」、「工事代金を支払ってくれない」といった建設工事に関する技術、商慣行などの専門的な知識が必要であるため、このような審査会が設置されています。
審査会は、事件の内容に応じて担当委員を指名し、「あっせん」「調停」「仲裁」のいずれかの手続に従って紛争の解決を図ることになります。担当委員は、弁護士や建築の専門家などの中から指名されます。
»「建設工事紛争審査会」の詳しい情報はこちらをご覧ください。
建設工事紛争審査会を利用するには?
建設工事紛争審査会のあっせん・調停・仲裁の手続を利用するには、各審査会の管轄区分に従って、管轄するいずれかの審査会に申請を行います。
建設工事紛争審査会の管轄区分
以下の管轄区分にしたがって適切な審査会に申請する必要があります。
- 中央建設工事紛争審査会(国土交通省に設置)
(1)当事者の一方又は双方が国土交通大臣の許可を受けた建設業者である場合
(2)当事者の双方が建設業者で、許可をした都道府県知事が異なる場合 - 都道府県建設工事紛争審査会(各都道府県に設置)
(1)当事者の一方のみが建設業者で、当該都道府県の知事の許可を受けたものである場合(2)当事者の双方が当該都道府県知事の許可を受けた建設業者である場合
(3)当事者の双方が許可を受けた建設業者でなく、その紛争に係る建設工事の現場が当該都道府県の区域内にある場合 - 管轄合意
上記1.2にかかわらず当事者双方の合意により、いずれの審査会にも申請可能。
必要書類、費用等
申請に当たって必要となる主な書類、費用等は次のとおりです。
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- 申請書・証拠書類
- 添付書類(当事者の商業登記簿謄本、委任状など)
- 申請手数料
- 通信運搬費 など
審査会を利用するための申請方法等の詳細については、事件を管轄する審査会の事務局にお問い合わせください。どの審査会が管轄するかがお分かりにならない場合には、中央建設工事紛争審査会までお問い合わせ下さい。
【お問い合わせ先】
中央建設工事紛争審査会事務局(国土交通省不動産・建設経済局建設業課紛争調整官室)
〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3
TEL 03-5253-8111 (内線24-764)
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。