指定建設業※以外の22業種については、実務経験により監理技術者資格を取得することができます。ただし、「実務経験」と「指導監督的実務経験」として認められるためには、要件を満たさなければなりません。その要件について解説をさせていただきたいと思います。
※「指定建設業」:土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種
要件は次の1~4まであります。「実務経験」は1の要件を満たす必要があり、「指導監督的実務経験」は1~4の全ての要件を満たす必要があります。
目次
1.資格者証の交付申請を行う建設業の種類に該当する「工事」の経験であること
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- 交付申請に係る業種以外の工事に関する経験
- 工事現場での雑務や事務(営業を含む)に関する経験
- 建設工事を含まない保守管理業務や草刈り、除雪等の業務委託
- 据え付け工事を含まない機械の設計・製作・システム開発の経験
- 建設工事に属さない、例えば船舶の建造又は改造に係る経験
⇒これらの経験は全て認められません。
2.発注者から直接請け負った工事の経験であること
下請工事での経験や発注者側(自社発注工事等)での経験は、「指導監督的実務経験」とは認められません。
「実務経験」については、下請工事での経験や発注者側での経験も認められます。
3.請負代金の額が定められた金額以上の工事の経験であること
「指導監督的実務経験」については、次の金額以上の工事であることが必要です。
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- 昭和59年9月30日までは、請負代金の額が1,500万円以上の工事
- 昭和59年10月1日~平成6年12月27日までは、請負代金の額が3,000万円以上の工事
- 平成6年12月28日以降は、請負代金の額が4,500万円以上の工事
※上記金額以上であったとしても、「単価契約」は原則として「指導監督的実務経験」とは認められません。
4.工事全体の技術面を総合的に指導監督した経験であること
工事現場主任者、工事監督者のような立場で、工事全般について技術面を総合的に指導監督した経験のことをいいます。工事の一部分に係る技術面の責任者としての経験や建設工事の施工に係る見習い中の技術的経験は、「指導監督的実務経験」とは認められません。
「実務経験」については、工事の一部分に係る技術面の責任者としての経験や建設工事の施工に係る見習い中の技術的経験も認められます。
実務経験により監理技術者資格者証の交付申請をする際は、「実務経験」「指導監督的実務経験」として認められる経験であるかをしっかり確認したうえで申請をするようにしましょう。

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。