政府の規制改革推進会議は12月22日の会合で、「当面の規制改革の実施事項」を決定しました。
建設業に関連するものとしては「建設業における技術者等の配置・専任要件及び資格要件の見直し」と「行政手続におけるオンライン利用率を大胆に引き上げる取組の推進」がありましたので、規制改革推進会議の「当面の規制改革の実施事項(案)」から抜粋してご紹介させていただきます。
目次
建設業における技術者等の配置・専任要件及び資格要件の見直し
a 工事現場などにおける適正な施工の確保のための技術者の配置・専任要件の見直し
デジタル技術の利活用や働き方の多様化を前提とした規制の適正化・精緻化に向けて、工事現場などにおける適正な施工の確保のための技術者の配置・専任要件について、デジタル技術の利活用を柔軟に認めつつ、建設工事の規模・種別ごとの実態も踏まえ、必要な見直しを行う。
建設業法の改正により、監理技術者の専任配置要件が合理化され、監理技術者の兼務が当⾯2現場まで可能(特例監理技術者)となったことを受け、主任技術者・監理技術者の配置・専任要件に関して、更なる検討が進められています。「特例監理技術者」の制度については以下の記事をご覧ください。
b 営業所専任技術者・経営業務管理責任者等の一定の条件下でのテレワークによる職務従事
昨今のデジタル技術の利活用の進展を踏まえて、可能なものから早期に、技術者をどのように配置すべきかなどの配置・兼務に係る考え方及び営業所専任技術者・経営業務管理責任者等の一定の条件下でのテレワークによる職務従事が常勤・専任の要件を欠くものではないことを明確化し、周知するなどの対応を行う。
こちらに関しては、先日、建設業許可事務ガイドラインの改正があり、経営業務の管理責任者や専任技術者について、テレワークによっても「常勤性」が認められることが明確となりました。以下の記事をご覧ください。
»「【パブリックコメント】テレワークで常勤性が認められるように」
c 建設業の技術者となるための資格取得及び受検の要件の見直し
建設業の技術者となるための資格取得及び受検の要件について、当該要件が技術者として建設工事を適正に実施するために必要な知識及び能力を確認するために定められていることを踏まえ、資格取得や受検の要件として実務経験年数を設けることの必要性、学歴に応じて実務経験年数に差異を設けることの合理性、指定学科の範囲の在り方に関する点検・検証を行い、その結果に基づいて必要な見直しを行う。
建設業就業者の減少、若年層の高離職率に起因する技術者の高齢化による担い手不足といった建設業における現状から、建設業関係団体より「指定学科外や他業種からの入職者について、受検資格及び資格取得に必要な実務経験年数を短縮すべき。」「優秀な人材の建設業への入職促進のため、短期間に資格が取得できる制度へ見直すべき。」といった要請があります。このような要請も踏まえて、建設業の技術者となるための資格取得及び受検の要件の見直しがされることとなります。
行政手続におけるオンライン利用率を大胆に引き上げる取組の推進
建設業に関連するものとしては、「建設業許可」と「経営事項審査」の手続きのオンライン化があります。国土交通省では、「建設業許可・経営事項審査等の申請手続の電子化に向けた実務者会議」が設置され、検討が進められていますが、2023年1月に電子申請システムの全許可行政庁一斉に運用開始することが予定されています。電子化については以下の記事をご覧ください。
»「建設業許可・経営事項審査等の申請手続の電子化(電子申請)について」
規制改革推進会議の「当面の規制改革の実施事項(案)」はこちらからご確認ください。https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/211222/211222general_0101.pdf
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建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。