令和3年8月2日から令和3年10月12日の間に、建設業者18,000業者を対象に実施された令和3年度下請取引等実態調査に関して、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答を行った建設業者11,084業者に対し、指導票が発送されました。この数字は令和2年度下請取引等実態調査の際の10,251業者に比べ増加しております。
»参考「令和2年度下請取引等実態調査の結果(約1万業者に指導票が送付)」
実施の概要
■調査対象業者:18,000業者(うち回収業者数::14,338業者、回収率79.7%)
■調査方法:郵送による書面調査(令和3年8月2日~令和3年10月12日)
■調査対象期間:令和2年10月1日~令和3年6月30日における取引
■調査内容:
・元請負人と下請負人の間及び発注者(施主)と元請負人の間の取引の実態等
・見積方法(法定福利費、労務費、工期)の状況
・約束手形の期間短縮や電子化の状況
・技能労働者への賃金支払状況 等
なお「令和3年度下請取引等実態調査」については、こちらの記事にも詳しく書いております
»令和3年度下請取引等実態調査が始まりました。
調査結果は次のとおりです。
調査結果
国土交通省「建設業法改正(令和2年10月1日施行)後初の下請取引等の実態~令和3年度下請取引等実態調査の結果~」(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00082.html)より抜粋しています。
○建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(12,427業者)が回答すべき調査項目について、指導対象となる29の調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)だった適正回答業者率は10.8%となりました。ただし、未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況です。
○今年度新規の設問項目である「労務費の内訳を明示した見積書」では67.3%の建設業者が内訳を明示した見積書を交付しており、「工期」については94.7%の建設業者が、追加工事等が生じた場合、工期変更を認めていると回答し、また「約束手形」の手形期間を60日(予定・検討中も含む)としている建設業者は73.8%との回答でした。
○技能労働者への賃金支払状況では、賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は82.8 %で、昨年度(79.3 %)から3.5ポイント増加しました。理由としては、「技能労働者の技能と経験に応じて給与を引き上げ(建設キャリアアップシステムの活用など)、技能労働者の処遇を改善する必要があると考えたため」が39.4%と最も多い回答でした。
この調査の結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者に対しては指導票を送付され、是正措置を講じるよう指導が行われたとのことです。さらに、必要に応じて、許可行政庁において立入検査等が実施されます。また、未回答業者やしわ寄せを行ったとされる元請負人について選定され、下請取引の実態を確認するとのことですので、十分注意しなければなりません。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。