建築物や工作物の解体・改修工事を行う際には、法令に基づき、石綿(アスベスト)含有の有無の事前調査を実施する必要があります。令和4年4月1日からは、一定規模以上の建築物や特定の工作物の解体・改修工事については、元方/元請事業者が事前調査の結果等を電子システムで届け出ることが義務となります。
報告対象となる工事
下表に該当する工事は報告が必要です。石綿がない場合にも報告が必要です。
工事の対象 | 工事の種類 | 報告対象となる範囲 |
全ての建築物 (建築物に設ける建築設備を含む) |
解体 | 解体部分の床面積の合計が80㎡以上 |
改修 | 請負金額が税込100万円以上 | |
特定の工作物 | 解体・改修 | 請負金額が税込100万円以上 |
※ 事前調査そのものは、上表の規模によらずすべての工事で実施する必要がある。
※ 建築物の改修工事には、模様替え、修繕のほか、建築設備(ガス・電気の供給、給水、排水、換気、冷暖房、排煙、汚水処理のための設備等を含みます)の設置・修理・撤去等を行う場合が含まれる。
※ 工作物の改修工事には、定期修理が含まれる。
※ 報告対象となる工作物は以下のもの。
・反応槽、加熱炉、ボイラー、圧力容器、煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く)
・配管設備(建築物に設ける給水・排水・換気・暖房・冷房・排煙設備等の建築設備を除く)
・焼却設備、貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く)
・発電設備(太陽光発電設備・風力発電設備を除く)、変電設備、配電設備、送電設備(ケーブルを含む)
・トンネルの天井板、遮音壁、軽量盛土保護パネル
・プラットホームの上家、鉄道の駅の地下式構造部分の壁・天井板
事前調査結果の報告の方法
事前調査結果の報告は、石綿事前調査結果報告システムを利用することで労働基準監督署、及び自治体の窓口へ書面の提出に出向くことなく行うことができます。(現在は、システムの運用開始(令和4年3月中予定)に先立ち、2月18日まで、実際のシステムを使用して操作に慣れるためのユーザーテストが実施されています。)
»石綿事前調査結果報告システム https://www.ishiwata-houkoku.mhlw.go.jp/shinsei/
なお、石綿事前調査結果報告システムの利用にあたっては、GビズIDが必要です。
»GビズIDの発行はこちら https://gbiz-id.go.jp/top/
メールアドレスがあれば即日発行が可能な「GビズIDエントリー」、印鑑証明書と申請書を郵送し、一定の手続きを行った上で発行される「GビズIDプライム」の2種類があり、どちらでもご利用が可能とのことです。GビズIDプライムには、複数の工事を一括して申請できる機能が実装される予定とのことなので、多数の工事を行う建設業者の方は、GビズIDプライムの申請をご検討いただくと良いと思います。
事前調査結果を踏まえた工事の実施
事前調査の結果、石綿有りとなった場合は、法令に基づく措置が必要となります。
(出典:厚生労働省パンフレット「事前調査結果の報告が施工業者(元請事業者)の義務になります!」)


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。