最近、弊社のお客様から、都道府県による立入検査があるというご相談が相次いでおります。複数社からご相談がありましたので、どのような書面が届くのか、どのような検査が行われるのか、どのような書類が検査されるのかを解説したいと思います。
立入検査とは?
建設業法第31条の規定に基づき実施される検査です。
(報告及び検査)
第三十一条 国土交通大臣は、建設業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で建設業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務、財産若しくは工事施工の状況につき、必要な報告を徴し、又は当該職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 第二十六条の二十一第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
立入検査については、こちらの記事をご覧ください。
都道府県より届く書面
弊社の愛知県のお客様にはこのような書面が届いています。
国土交通省の立入検査は、地方整備局等の職員が2名で実施することが多いですが、都道府県による立入検査は、地方整備局の職員と都道府県の職員が合同で検査をするようです。
最初にこのような書面が届きますが、いきなり立入検査に来るわけではありません。「1.実施日時」に「日程調整後に決定」と記載されているとおり、日程については希望を伝えることができます。
「検査内容」「準備資料」
立入検査は、「建設業法等の法令遵守」「建設工事の請負契約の適正化」「下請代金の支払等の適正化」を図るために実施されます。上記書面によれば、施工済工事の下請契約に係る見積り、請負契約、下請代金支払の方法及び時期について検査が行われるとのことです。
そして、検査される資料は以下の資料です。
1.発注者との契約関係書類
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- 契約書(追加・変更分を含む)
- 検査結果通知書等(完成日、検査日及び引渡日が確認できる書類)
- 工程表
- 施工体制台帳及び施工体系図(作成している場合)
- 配置技術者に必要な資格を有すること証する書類の写し(監理技術者資格証、合格証等)
- 発注者からの入金が確認できる会計帳簿等
2.下請負人との契約関係書類
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- 見積関係書類(見積依頼書、見積書等)
- 契約書(注文書・請書の場合を含む。追加・変更分も含む)
- 検査結果通知書等(完成日、検査日及び引渡日が確認できる書類)
- 下請負人からの請求書、下請代金の支払日及び金額等が確認できる会計帳簿等)
どのような建設業者が立入検査の対象?
都道府県による立入検査ですので、都道府県知事許可業者が対象です。
弊社のお客様では、特定建設業者で、売上数百億円~数千億円規模の企業様が対象となっている印象です。また、一般建設業許可であっても、M&A直後の企業様が対象になっていたりします。
まだ立入検査を受けたことがない方も多くいらっしゃると思いますが、これらの情報を基に、しっかりと法令遵守を心掛けていただき、立入検査に備えていただければと思います。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。