先日、目に留まった情報がありました。在籍出向者の特例緩和についてです。
まだ内容が確定していませんが、お客様から相談を受ける事項であり手続きも何度も行っている事でもあるので、今回取り上げます。
1.原則>>在籍出向者は配置技術者になることができない
現場の主任技術者や監理技術者(以下、「配置技術者」とします。)は、直接的かつ恒常的な雇用関係にある者しかなることができない、ということは本ブログでも何度も取り上げていますのでご存知のことと思います。
直接的な雇用関係とは、配置予定の技術者とその所属建設業者との間に第三者が介入する余地のない雇用に関する一定の権利義務関係が存在することです。つまり、別の会社に所属をしたまま出向している在籍出向者には、直接的な雇用関係がないという事です。
そのため、原則、在籍出向者である者は配置技術者になることができません。
2.例外>>企業集団確認申請を行う
企業集団確認申請とは、簡単に言うと「親会社とその連結子会社が1つの企業となっている」ということを国土交通省に確認してもらう手続きです。企業集団確認によって、在籍出向者も直接的かつ恒常的な雇用関係があると認められます。
しかしこの企業集団確認申請は誰でもできることではなく、親会社とその連結子会社との間で、一定の要件を満たすことが必要です。一定の要件とは以下のとおりで、これらすべてを満たす必要があります。
1.一の親会社とその連結子会社からなる企業集団であること。
2.親会社が次のいずれにも該当するものであること。
①建設業者であること。
②有価証券報告書提出会社又は会計監査人設置会社であること。
3.連結子会社が建設業者であること。
4.3.の連結子会社がすべて1の企業集団に含まれる者であること。
5.親会社又はその連結子会社(その連結子会社が2以上ある場合には、それらのすべて)のいずれか一方が経営事項審査を受けていない者であること。
6.親会社又は連結子会社が、既にこの取扱いの対象となっていないこと。
企業集団確認についてさらに詳しい内容を確認したい方は、こちらのブログもご確認ください。
出向社員を主任技術者等として配置する方法【企業集団確認申請】
3.在籍出向者の特例緩和の内容
特例緩和については、まだ確定の内容ではありません。現時点では、日本経済団体連合会が内閣府の規制改革推進会議で提案したところです。
近年では、企業間の協業や資本関係の複雑化が進んでいるため、上記の要件を満たす企業が限られています。また、建設業界では技術者の人材確保が課題となっているため、配置技術者の確保が難しいという建設業者も多く存在ます。そのような背景もあり、在籍出向者の取り扱いを緩和することで、配置技術者の人材確保をより柔軟に行えるようにしようという動きです。
今後、国土交通省では実態を調べた上で、親会社と関連会社間や、子会社同士でも在籍出向を認めるかどうかを来春にも判断するようです。今後の動向に注目したいと思います。
<在籍出向者の取り扱い緩和イメージ>
建通新聞の記事をご覧ください。
https://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/221114590010.html


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。