建築物の定期調査等の対象拡大や、安全性を確保しつつ、近年の建築物に関するニーズを踏まえた規制の合理化を行う「建築基準法施行令の一部を改正する政令案」が、令和5年2月7日に閣議決定されました。
背景
「大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会報告書」における提言において、定期調査の指定可能対象範囲を拡大すべきとの指摘がなされたことや、経済社会情勢の変化に対応するために行った技術的検証の結果が背景とされています。
政令の主な概要
- 定期調査の指定可能対象範囲の拡大
大阪市北区ビル火災(令和3年12月)を踏まえ、3階以上で延べ面積が200㎡を超える事務所等の建築物について、特定行政庁が定期調査報告の対象として指定できること等とする。 - 物流倉庫等に設けるひさしに係る建蔽率規制の合理化
物流倉庫等において、積卸し等が行われるひさしの部分について、建蔽率規制の合理化を図り、物流効率化に資する大規模なひさしの設置を容易にする。 - 耐火性能に関する技術的基準の合理化
木材利用促進に資する観点から、階数に応じて要求される耐火性能基準(火災時の倒壊防止のために壁、柱等が耐えるべき時間)について、60分刻みから30分刻みへ精緻化することとする。 - 無窓居室に係る避難規制の合理化
既存ビルの間仕切り改修によるシェアオフィス等の設置に資する観点から、無窓居室であっても、避難経路となる廊下等の不燃化等の安全確保のための一定の措置が講じられるものについては、主要構造部(壁、柱等)を耐火構造等とすることを不要化するとともに、地上等に通ずる直通階段までの距離を延長(窓等を有する居室と同等化)することとする。
詳しくはこちらの要綱をご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001586004.pdf
スケジュール
公布:令和5年2月10日(金)、施行:令和5年4月1日(土)


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。