令和5年3月1日に、持続可能な建設業に向けた環境整備検討会 第八回検討会が開かれました。
請負契約の適正化など、建設業法に関連する部分も議論されているため、資料の中から気になる部分をピックアップしてご紹介します。
持続可能な建設業に向けた環境整備検討会とは?
担い手確保や生産性向上等の従前からの建設業における課題や、昨今の建設資材の急激な価格変動等の建設業を取り巻く環境の変化を踏まえ、将来にわたり建設業を持続可能なものとするための環境を整備するために必要な施策の方向性について検討を行うために設置されたものです。
とりまとめ概要案について
請負契約の適正化についても議論されており、「とりまとめ概要案」から、今後の方向性について気になる点を5つ取り上げてご紹介します。
①民間建設工事標準請負契約約款(民間約款)の原則的利用の促進
民間約款の利用を促進するため、受発注者ガイドラインにおいて、「民間約款又はこれに準拠した内容を持つ契約書による契約を締結することが基本」である旨を明記。
②価格変動に伴う請負代金額の変更を求める条項(民間約款第31条)の契約書への明示
民間約款第31条が請負契約から削除されないようにするため、建設業法第19条第1項第8号の趣旨を「請負代金の額又は工事内容をどのように変更するかということについての定め」と明確化。
③見積り時や契約締結前の、受注者から注文者に対する情報提供
受発注者間の情報の非対称性を解消するため、注文者から受注者に対する情報提供義務(建設業法第20条の2)と同様に、見積り時や契約締結前に、受注者から注文者に対し、建設生産のプロフェッショナルとしての立場から、請負契約の前提となる計画や設計の熟度、建築資材の調達先、建設資材の価格動向などから想定される、建設工事に影響を及ぼす事象に関する情報提供を制度化。
④建設業法第19条の3(不当に低い請負代金)違反への勧告対象を民間事業者へ拡大
受発注者間での協議の実効性を担保するため、建設業法第19条の3に違反した際の国土交通大臣による勧告の対象を民間事業者に拡大、建設業者に対する監督処分の対象に第19条の3違反を追加。
⑤勧告に至らない事案であっても、必要に応じて公表
請負契約の適正化に係る情報の整理・公表を制度化するとともに、組織体制を整備。
※なお、最終のとりまとめは3月末が予定されています。
その他の事項
持続可能な建設業に向けた環境整備検討会では、技能者の時間外労働の管理や施工体制を含めた建設生産プロセス全体の透明性を高める方策についても議論がされています。持続可能な建設業に向けた環境整備検討会 第八回検討会の資料はこちらをご覧ください。


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。