建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

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建設業許可と一緒に監督処分も承継されます

令和2年10月1日より、建設業許可に関する事業承継および相続に関する制度が新設されました。
改正以前の建設業法では、建設業者が事業譲渡・合併・分割を行う時には、従前の建設業許可を廃業すると共に、新たに建設業許可を新規申請する必要があり、廃業日から新たな許可日までの間に契約額500万円以上(建築一式工事においては1,500万円以上)の建設業を営むことのできない空白期間が生じるという不利益が生じていました。
しかしながら、改正建設業法によって、事業承継を行う場合はあらかじめ「事前の認可」を、相続の場合は死亡後30日以内に「相続の認可」を受けることで、空白期間を生じることなく、承継者(譲受人、合併存続法人、分割承継法人)及び相続人が、被承継者(譲渡人、合併消滅法人、分割被承継法人)及び被相続人における建設業者としての地位(建設業許可)を承継することができるようになりました。

(出典:国土交通省「事業承継の概要について」https://www.mlit.go.jp/common/001365753.pdf)

承継するためには要件を満たす必要がある

建設業許可を承継できるようになったといっても、誰でも承継できるようになったわけではありません。事業承継・相続の認可の審査においては、承継者及び相続人が許可要件等を備えていることが必要です。つまり、新規で建設業許可を取得するのと同様の要件を満たさなければならないということです。

建設業許可要件は次のとおりです。
1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者
2.専任技術者
3.誠実性
4.財産的基礎等
5.欠格要件

承継されるのは許可だけではない

以下は、国土交通省の建設業許可事務ガイドラインからの抜粋です。

建設業法第3条の規定による建設業の許可(更新を含む)を受けたことによって発生する権利と義務の総体をいい、承継人は被承継人と同じ地位に立つこととなる。このため、建設業者としての地位の承継人は被承継人の受けた監督処分や経営事項審査の結果についても、当然に承継することとなる。
一方、承継においては、建設業法第45条から第55条までに規定される罰則については、建設業者としての立場にかかわらず、罰則の構成要件を満たす違反行為を行った被承継人という法人(個人)そのものに対して課されるものであるため、当該違反行為については、承継人に承継されるものではない。同様に、相続においては、刑法上の罰は、個人に対して課された刑罰であるから、承継によっても引き継がれない

記載されているとおり、監督処分や経営事項審査の結果についても、当然承継することとなります。

事業譲渡・合併・分割において、空白期間を生じることなく建設業許可を承継することができるようになったことから、今後事前認可制度を使って事業承継やM&Aをするケースは増えてくると思われます。非承継者(M&Aでは売り手)が、建設業法違反をして指示処分、営業停止処分といった監督処分を受けている場合は、その監督処分まで引き継がれてしまうことになるため、そもそも承継(買収)しないことが起こったり、買収条件に影響が及ぶことも考えられます。

事業承継やM&Aによる売却をご検討の建設業者様は、「承継(売却)するから、コンプライアンス面は気にしなくていいや」という考え方ではなく、よりよい状態・条件で承継するためにも、承継するその瞬間までコンプライアンス面は意識をしておく必要があります。

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