令和3年12月2日から12月8日まで意見募集されていた「建設業許可事務ガイドラインについて」及び「国土交通大臣に係る建設業許可及び建設業者としての地位の承継の認可の基準及び標準処理期間について」の改正案について、12月9日に結果が公示されました。
改正案の内容については先日のこちらの記事をご覧ください。
»【パブリックコメント】テレワークで常勤性が認められるように
以下、国土交通省「「建設業許可事務ガイドラインについて」及び「国土交通大臣に係る建設業許可及び建設業者としての地位の承継の認可の基準及び標準処理期間について」の改正案に関する意見募集の結果について」(https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000227846)より、引用してお知らせします。
主なご意見(概要) | 国土交通省の考え方 |
許可申請において、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行できるかどうか、当該所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境下においてその職務に従事しているかどうか、の2点について確認 資料を求めるのでしょうか。また、「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、当該所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境下」がどのような状態を想定しているのか、具体例をお示しください。 |
テレワークが可能かどうか等を確認するための書類を求めることは予定しておりません。 テレワークの実施にあたっては、例えば、メールを送受信・確認できることや、契約書、設計図書等の書面が確認できること、電話が常時つながること等が必要と考えられます。 |
テレワークによる常勤性の疎明方法等についての基準が示されておらず、その可否について許可行政庁の裁量に委ねられる幅が大きくなり、結果として許可要件の核となる常勤性、専任性について地域による差異が大きくなる恐れが生じる。これら緩和にかかる基準を明確にお示しいただくことで、ICT活用による建設業者のさらなる業務効率化を図るべきではないかと考える。 | 一般的には、テレワークの実施にあたっては、メールを送受信・確認できることや、契約書、設計図書等の書面が確認できること、電話が常時つながること等が必要と考えられますが、「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境」に該当するか否かは、ICT機器の使用状況等を含め総合的に判断する必要があり、一律の基準を設ける予定はございません。 |
建設業許可事務ガイドライン p.28 の1行目にある通り、「専任」には、「営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能」かどうかの判断もあると思いますが、テレワークを行う場合が含まれる場合でもこの判断が必要な理由をご教示ください。また、テレワークを行う場合で「著しく遠距離」という解釈が変わるかどうかもご教示ください。 | 営業所専任技術者は、緊急時等には対面での説明・現場確認が求められるケースも考えられ、また、従来、営業所に常識上通勤不可能な遠距離に居住する者については「専任」要件を満たさないものと扱っていたことも踏まえ、営業所に常識上通勤不可能な場所でのテレワークについては、「専任」要件を満たさないものとします。「著しく遠距離」の解釈は、テレワークを行う場合であっても変わりありません。 |
建設許可事務ガイドライン p.28 における「著しく遠距離」について。テレワークは遠距離での効率的な業務を可能とすることに意義があるところ、本改正において専任の技術者のテレワークが認められるのは、事実上住所所在地の範囲においてのみとなる。つまり今般のテレワークによる常駐制限の緩和、「著しく遠距離」の場合の物理的な例外要件を併存させることで、整合性が図れない場合も想定され、建設業者や許可行政庁の判断を困難にするものと言える。ついては上記の明確な判断基準を示されたい。 | 「著しく遠距離」の解釈は、テレワークを行う場合であっても変わりありません。 |
「建設業法施行令第3条に規定する使用人」がテレワークも可能とすると、不良不適格業者が実態のない形だけの支店・営業所を各所に設置してしまう恐れが非常に高まる。 そのことにより、不当な入札が発生したり、公共工事成果物の品質にも悪影響が及ぼされたりすることになり、結果的に国民が不利益を被ってしまう。 |
今回の改訂において、営業所にて勤務する者のうち、営業所の専任技術者については、常識上通勤不可能な場所でのテレワークは「専任」要件を満たさないものとしております。また、「専任」要件自体に変更はなく、テレワークを行ったとしても一人の者が複数の営業所において営業所専任技術者となることはできません。上記のことを通じて、営業実態のない営業所の設置防止を引き続き図ってまいります。 |
「常勤」や「専任」を判断する上で、「建築士事務所を管理する建築士、宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士等の他の法令で専任を要するものと重複する者は、専任を要する営業体及び場所が同一である場合を除き」ということがありますが、テレワークを行う場合はどう解釈すればよいかご教示ください。 | テレワークを行う場合であっても、従来通りの解釈をすることとします。つまり、他の法令においても専任を要することとされている営業所専任技術者等がテレワークを行う場合、専任を要する営業体及び場所が同一である場合に限り、建設業許可事務ガイドライン上の「専任」要件を満たすものとします。 |
今般の建設業許可事務ガイドラインの改正は、知事許可業者については拘束力がないものと思われます。許可行政庁によって足並みが揃わない場合、A県では認めるがB県では認めないということがあると、申請者としては許可換え申請時に大変不安定な立場に置かれます。都道府県に対しては同内容の告示や通達がなされるものと考えてよろしいでしょうか。 | 都道府県の建設業許可部局に対しても、今回の改正内容を参考送付いたします。 |
許可事務ガイドライン p.20 の4行目について、「従事していること(テレワーク・・・)」は、「従事(テレワーク・・・)していること」に修正すべき。 | ご指摘の通り修正しました。 |
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行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。