国土交通省では「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について(平成14年3月28日国総建第67号)」の改正が予定されており、令和4年4月15日から5月14日まで、改正案に関して意見募集をしています。
「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」とは?
建設業者による不正行為等について、国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準です。建設業者の行う不正行為等に厳正に対処し、建設業に対する国民の信頼確保と不正行為等の未然防止に寄与することを目的として定められています。
»【監督処分の基準】建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について
改正の背景
近年、自然災害の激甚化・頻発化により、不適切な盛土等による土砂災害リスクが増加しています。国土交通省によると2021年には全国の42都道府県で計972件の土砂災害が発生しました。なかでも多数の死傷者を出したのが7月の熱海市の大雨による土石流災害です。上流部に過大に積み上げられた盛り土が原因とみられています。
このような状況を受け、「盛土による災害の防止に関する検討会提言」では、危険な盛土等の発生を防止するため、廃棄物混じり盛土の発生防止等の取組を進めること、具体的には、廃棄物混じり土の適正処理等について、関係者への注意喚起を徹底するほか、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)違反に対する建設業者へのペナルティを強化することが盛り込まれました。
»盛土による災害の防止に関する検討会 提言(令和3年12月24日公表)
建設業法第28条第1項及び第3項においては、建設業者がその業務に関し、同法や同法以外の法令の各規定に違反し、建設業者として不適当であると認められるときは、国土交通大臣が当該建設業者に対し必要な指示及び一定期間の営業停止命令を行うことができることとされています。そして、これらの処分を行う際の統一的基準として「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について」が定められています。今回は、廃棄物処理法違反に対する建設業者へのペナルティを強化するため、「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」が改正されることとなりました。
改正の概要
監督処分基準において、建設業者が廃棄物処理法に違反した場合の処分の基準として位置付けられている「役員等又は政令で定める使用人が懲役刑に処せられた場合は7日以上、それ以外の場合で役職員が刑に処せられたときは3日以上の営業停止処分を行うこととする。」について、「7日以上」を「15日以上」に、「3日以上」を「7日以上」に、それぞれ引き上げられることとなります。
■新旧対照表(「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準新旧対照表」https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000234773より抜粋)


行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修はもちろんのこと、建設業者の安全協力会や、各地の行政書士会からも依頼を受け、建設業法に関する研修を行っている。