今回と次回で、建設キャリアアップシステム(CCUS)について取り上げます。
運用が開始され、また経営事項審査の改正により、建設キャリアアップシステムについての質問や問合せをいただくことが増えています。本ブログを通じて全体像を把握していただき、御社の導入検討にお役立ていただきたいと思います。
1.建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステムは、英訳するとConstruction Career Up Systemであり、その頭文字をとってCCUSと略称で呼ばれることもあります。(本ブログでは、CCUSということにします。)
CCUSとは、国土交通省が推進する、建設業に関わる技能者の資格・社会保険加入状況・現場の就業履歴などを登録することで経験の情報を蓄積し、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるため仕組みのことです。このシステムは、一般財団法人建設業振興基金が運営主体となり、2019年4月より本格運用が開始されました。 国土交通省では、同システムの導入スケジュールについて「運用開始初年度で100万人の技能者の登録、5年で全ての技能者(330万人)の登録を目標とする」としていますが、実際のところ、そこまでの数字に達していません。※2021年3月末時点の登録技能者数は52万人に達していません。
しかし、2020年1月には外国人技能実習生のCCUS登録を義務化することを告示したこと、経営事項審査において技能者のレベルに応じて技術力(Z)の加点対象となったこともあり、技能者登録が加速するのではないかと思います。
2.CCUSの目的
CCUSが構築された背景には、建設業界の人材不足の対策という目的があります。
建設業界には技能者の能力が適切に評価されていないという実態があり、人材不足を加速させている実態があります。。
そのためCCUSでは3つの目的を掲げています。
①技能者のキャリアを見える化
技能者の本人情報・保有資格・社会保険加入状況等をシステムに登録し、個人カードに就業履歴の情報を蓄積していきます。つまり、技能者のスキルや経験を見える化します。そうすることで、技能者が適正な処遇を受けられるようにすることを目的としています。
②将来の技能者確保
若年層に、建設業が将来にわたり「魅力的な職業」であると認識してもらえるよう、個々の技能者のスキルアップが確実に処遇の向上につながる環境を整備していきます。そのためにも、技能者の能力をレベル分けし、客観的に評価する基準の構築が必要だと考えられています。
③事業者の業務負担軽減
現場で技能者の資格保有状況や社会保険加入状況を簡単に確認できるようになり、現場管理の効率化が見込まれます。また、建設業退職金共済事業本部(通称、建退共)が管理する退職金の管理なども統合されていく予定なので、事業者の事務作業の効率化にも繋がります。
引用:一般社団法人建設業振興基金「建設キャリアアップシステムについて」
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行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。