建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

  1. 用語解説
  2. 1368 view

建設業法における配置技術者の専任配置とは?期間や必要となる工事について解説

配置技術者とは

建設業法第26条において、建設工事を施工する場合には、建設工事の適正な施工を確保するために、主任技術者または監理技術者と呼ばれる配置技術者を配置しなければならないと規定されています。
監理技術者については、「建設業法における監理技術者とは?資格や必要となる工事について解説」の記事で詳しく解説しておりますので、併せてご確認ください。

配置技術者の専任が必要な工事とは

公共性のある工事で、請負金額が4,000万円(建築一式の場合は8,000万円)以上の工事については、より適正な施工を確保するため、配置技術者は工事現場ごとに専任の者でなければなりません。
建設業法第26条第3項では、主任技術者・監理技術者の専任が必要な工事について規定しています。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条の三 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、監理技術者にあつては、発注者から直接当該建設工事を請け負つた特定建設業者が、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでない。

「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの」とは、どういう工事に該当するのか、建設業法施行令第27条第1項に具体的に規定されています。

(専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする建設工事)
第二十七条 法第二十六条第三項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が四千万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、八千万円)以上のものとする。
一 国又は地方公共団体が注文者である施設又は工作物に関する建設工事
二 第十五条第一号及び第三号に掲げる施設又は工作物に関する建設工事
三 次に掲げる施設又は工作物に関する建設工事
イ 石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第五条第二項第二号に規定する事業用施設
ロ 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者(同法第九条第一号に規定する電気通信回線設備を設置するものに限る。)が同条第四号に規定する電気通信事業の用に供する施設
ハ 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者又は同条第二十四号に規定する基幹放送局提供事業者が同条第一号に規定する放送の用に供する施設(鉄骨造又は鉄筋コンクリート造の塔その他これに類する施設に限る。)
ニ 学校
ホ 図書館、美術館、博物館又は展示場
ヘ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第一項に規定する社会福祉事業の用に供する施設
ト 病院又は診療所
チ 火葬場、と畜場又は廃棄物処理施設
リ 熱供給事業法(昭和四十七年法律第八十八号)第二条第四項に規定する熱供給施設
ヌ 集会場又は公会堂
ル 市場又は百貨店
ヲ 事務所
ワ ホテル又は旅館
カ 共同住宅、寄宿舎又は下宿
ヨ 公衆浴場
タ 興行場又はダンスホール
レ 神社、寺院又は教会
ソ 工場、ドック又は倉庫
ツ 展望塔

これらの例示を全て覚えることは難しいため、以下の2つの条件に当てはまる工事を施工する場合には、配置技術者は専任で配置しなければならない、と覚えておくとよいでしょう。

 ①請負代金が税込4,000万円(建築一式工事の場合は税込8,000万円)以上の工事
 ②公共工事に限らず、民間工事も含まれ、個人住宅や長屋を除くほとんどの建設工事が対象

この配置技術者の専任配置は、元請・下請という建設業者の立場に関わらず、全ての建設業者が対象という点も大切なポイントです。上記に該当する工事であれば、下請業者であっても配置技術者の専任配置が必要になりますのでご注意ください。

配置技術者(主任技術者・監理技術者)の専任配置とは

配置技術者の「専任」とは、「他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していること」を意味しています。つまり、専任が求められる工事に配置された技術者は、原則として他の工事現場の配置技術者となったり、作業することができず、配置された工事の職務にのみ従事することが求められます。

ただし専任の配置技術者は、工事現場に常時継続的に滞在する「常駐」までは求められていないため、研修・講習への参加や、休暇を取得することが可能です。一般的に合理的な理由で短期間工事現場を離れることは差し支えないとされています。

配置技術者(主任技術者・監理技術者)の専任期間

配置技術者を専任で配置する期間は、その建設業者の立場(元請か下請か)によって異なります。
(1)元請の場合
元請の場合には、原則として契約工期が配置技術者の専任が必要な期間となります。
ただし次のような期間については、契約工期中であっても専任配置は必要ありません。

①請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの間。)
②工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
③橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事全般について、工場製作のみが行われている期間
④工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間

いずれの場合であっても、発注者と建設業者の間で、上記の期間が設計図書または打合せ記録等の書面により明確になっていることが必要です。

■元請業者における配置技術者の専任配置の期間

出展:関東地方整備局 建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和5.1版)

(2)下請の場合
下請工事の場合には、施工が断続的に行われることが多いため、専任配置が必要な期間は、下請工事が実際に施工されている期間となります。
■下請業者における配置技術者の専任配置の期間

出展:関東地方整備局 建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和5.1版)

主任技術者は2つ以上の現場を兼務することができるのか

専任が求められない建設工事に配置された主任技術者については、建設業法上、専任が求められない他の建設工事の主任技術者としての兼務を禁止する規定はありません。主任技術者としての職務が果たせるのであれば、兼務は問題ないと考えられています。
ただし、専任が求められる建設工事に配置された主任技術者については、原則としてほかの工事の主任技術者を兼務することはできません。
しかし例外が2つあります。

(1)複数の工事 が密接な関係にある場合
配置技術者の専任配置に関するルールの例外が、建設業法施行令第27条第2項に規定されています。これに該当する場合には、専任期間であっても複数の工事の配置技術者になることができます。

 建設業法施行令第二十七条
2 前項に規定する建設工事のうち密接な関係のある二以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工するものについては、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を管理することができる。

ここで規定される「密接な関係のある建設工事」とは、工事の対象となる工作物に一体性若しくは連続性が認められる工事又は施工にあたり相互に調整を要する工事のことを言います。相互に調整を要する工事としては、次のようなものが考えられます。

・資材の調達を一括で行い、相互に調整を要する工事
・工事の相当の部分を同一の下請で施工し、相互に調整を要する工事

「近接した場所」とは工事現場の相互の間隔が10km程度以内とされています。

ただし、この規定は専任の監理技術者については適用されませんので注意が必要です。また、この場合において一人の主任技術者が管理できる工事の件数は、専任が必要な工事を含む場合は、原則2件程度とされています。

(2)複数の工事の工作物に一体性が認められる場合
同一あるいは別々の注文者が発注する工事で、次の①②のいずれも満たす場合には、工事全体を同一の主任技術者が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられることから、すべての注文者から書面による承諾を得た上で、これら複数の工事を1つの工事とみなして同一の主任技術者が兼務することができます。

 ①契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であること
 ②それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められること

この規定は、その全てを下請として請け負う場合を除き、複数工事に係る下請金額の合計が、4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となるときは特定建設業の許可が必要で、工事現場には監理技術者を設置しなければなりませんので注意が必要です。

監理技術者は2つ以上の現場を兼務することができるのか

監理技術者も主任技術者と同様に、専任が求められない建設工事に配置された監理技術者については、建設業法上、専任が求められない他の建設工事の監理技術者としての兼務を禁止する規定はありません。監理技術者としての職務が果たせるのであれば、兼務は問題ないと考えられています。

専任が求められる建設工事に配置された監理技術者については、原則としてほかの工事の監理技術者を兼務することはできません。
しかし例外が2つあります。

(1)複数の工事の工作物に一体性が認められる場合
これは専任の主任技術者が複数の工事現場を兼務する場合(上記、6主任技術者は2つ以上の現場を兼務することができるのか(2))と同じケースです。
次の①②のいずれも満たす場合には、工事全体を同一の監理技術者が掌握し、技術上の管理を行うことが合理的であると考えられることから、すべての注文者から書面による承諾を得た上で、これら複数の工事を1つの工事とみなして同一の監理技術者が兼務することができます

 ①契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であること
 ②それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められること

(2)特定監理技術者を配置し、監理技術者補佐を専任で配置する場合
令和2年10月の建設業法の改正によって、監理技術者補佐を専任で配置すれば、監理技術者が2つの現場の監理技術者を兼務することができるようになりました。

 建設業法第二十六条第三項
3 (中略)ただし、監理技術者にあつては、発注者から直接当該建設工事を請け負つた特定建設業者が、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでない。

この場合の監理技術者を「特例監理技術者」と呼びます。

監理技術者補佐は、監理技術者として認められている1級施工管理技士の有資格者もしくは、主任技術者の要件を有する者のうち、1級技士補の有資格者であればなることができます。技士補とは、国土交通大臣の指定する試験機関が実施する技術検定の一次試験の合格者をいいます。

特例監理技術者は、2つの工事現場を兼務することになりますが、建設工事を適正に施工するためにも、その工事の施工計画の作成、工程管理・品質管理その他の技術管理など、元請として求められる職務を行うことには変わりありませんので注意が必要です。

出展:関東地方整備局 建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和5.1版)

監理技術者が専任配置される場合に必要な資格

専任で配置される監理技術者は、監理技術者資格者証の交付を受けている者であって、かつ監理技術者講習を受講した者でなければなりません。

建設業法第二十六条
5 第三項の規定により専任の者でなければなら監理技術者(特例監理技術者を含む。)は、第二十七条の十八第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第二十六条の五から第二十六条の七までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。

■監理技術者資格者証
監理技術者資格者証とは、一般財団法人建設業技術者センターが発行する資格者証で、監理技術者になることのできる資格を有する者は、一般財団法人建設業技術者センターに申請することで、資格者証の交付を受けることができます。

出展:関東地方整備局 建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和5.1版)

監理技術者として工事現場に配置された監理技術者は、発注者等からの請求があった場合には、資格者証を提示しなければなりません。そのため監理技術者資格者証は、その職務に従事するときは常時携帯しなければなりません。

■監理技術者講習
監理技術者講習とは、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が実施する講習のことで、専任で配置される監理技術者は、この講習を受けていなければなりません。現在、国土交通大臣の登録を受けている登録講習実施機関は以下の6つです。

〈監理技術者講習実施機関一覧〉

出典:国土交通省 監理技術者講習の実施機関一覧

監理技術者講習は受講してからの有効期限があり、講習を修了した日から5年間です。ただし、令和3年1月1日以降は、有効期限の起算日が講習を受講した日の属する年の翌年の1月1日となり、その日から5年後の12月31日が監理技術者講習の有効期限と変更されました。

出展:関東地方整備局 建設工事の適正な施工を確保するための建設業法 (令和5.1版)

監理技術者講習を受講した場合には、修了を証明するために、修了履歴のラベルを監理技術者資格者証の裏面に貼り付けます。これにより、監理技術者資格者証だけで、専任の監理技術者の要件を満たしているか否かが確認することができます。

まとめ

建設工事を施工する場合には、必ず主任技術者や監理技術者の配置が必要となりますが、その中でも監理技術者等の専任が求められる工事があります。元請・下請にかかわらず適用されるルールのため、すべての建設業者が専任配置の必要な工事をしっかりと理解し、適切に監理技術者等を配置していただきたいと思います。

     
    建設業を営むうえで、必ず守らなければならない建設業法。建設業法違反には、罰則や監督処分といった制裁があり、建設業の経営において多大な影響を与えるリスクがあります。
    そこで、本資料では、建設業法の遵守においてチェックしたいポイントを4つにまとめて解説しました。
    (※お申込み頂いたアドレス宛に、弊社メルマガをお送りいたします。)
     

    個人情報保護方針はこちら

    This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

    用語解説の最近記事

    1. 建設工事における基本契約書とは?建設業法をもとに解説!

    2. 内示書とは?建設業法違反になるのか解説!

    3. 建設業の内部監査の方法

    4. 営業所で行われる監査とは?建設業法をもとに解説

    5. 建設業のコンプライアンス

    関連記事

    資料ダウンロード

       
      建設業を営むうえで、必ず守らなければならない建設業法。建設業法違反には、罰則や監督処分といった制裁があり、建設業の経営において多大な影響を与えるリスクがあります。
      そこで、本資料では、建設業法の遵守においてチェックしたいポイントを4つにまとめて解説しました。
      (※お申込み頂いたアドレス宛に、弊社メルマガをお送りいたします。)
       

      個人情報保護方針はこちら

      This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.