令和2年10月の建設業法の改正に伴い「監理技術者制度運用マニュアル」も改正されました。改正された部分はもちろんのこと本マニュアルの内容を解説し、建設業法令遵守にお役立ていただきたいと思います。
1.工事現場の標識掲示ルール
監理技術者等の職務という訳ではありませんが、工事現場で掲げる標識のルールについて再確認しようと思います。
建設業法第四十条
建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
この規定は令和2年10月に改正されました。
以前は、工事現場の標識掲示はその現場に携わるすべての建設業者に掲示義務がありました。それが建設業法の改正により、「発注者から直接請け負った」建設業者のみ、現場で標識を掲示する義務と変わりました。標識掲示の手間の省略です。
建設現場に標識を掲示する目的は、
①建設業法による許可を受けた適正な業者によって建設工事の施工がされていることを対外的に明らかにすること
②多数の建設業者が同時に施工に携わっても、対外的に建設工事の責任主体を明確にすること 等
これらの目的のため、現場ごとに公衆の見やすい場所に標識を掲示することになっています。
また、建設現場で掲示する標識は営業所に掲げる標識とは異なります。大きさや記載すべき事項が異なりますので、ご注意ください。
引用:中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて(令和2年10月改訂)
2.建設業法の遵守
監理技術者等に限ったことではなく、建設業者は建設業法を遵守する必要があります。
建設業法の目的を今一度見直し、日々、法令遵守に取り組んでください。
建設業法第一条
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
3.これまでのまとめ
「監理技術者制度運用マニュアル」について、全11回のブログにわたり解説しました。
建設業法をより具体的に建設現場でのルールを規定した「監理技術者制度運用マニュアル」。建設業法の遵守のためにも、この監理技術者制度運用マニュアルの内容は現場に出る技術者にはぜひ理解し覚えておいていただきたいと思います。
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行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可担当。高度な法的知識、行政との綿密な調整が求められる一般的に難易度の高いと言われる許認可申請の対応を得意としている。建設業者からの信頼も厚く、建設業者の顧問や、建設業者の社内研修も多数対応している。