令和2年10月の建設業法の改正に伴い「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(監督処分基準)」が改正されました。改正された部分はもちろんのこと、この基準の内容を解説し、建設業法令遵守にお役立ていただきたいと思います。
1.監督処分の基本的考え方
監督処分は、建設業法第1条に定められている建設業法の目的を踏まえ、処分基準に従い、当該不正行為等の内容や程度、社会的影響、情状等を総合的に勘案して行われます。
建設業法第一条
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
2.監督処分の対象
監督処分の対象については、①地域 ②業種 ③請負契約に関する不正行為等に対する営業停止処分 この3つの視点で見ていきます。
①地域
監督処分は、基本的には地域を限定せずに行われます。ただし、営業停止処分を行う場合には、処分対象の不正行為が限定された地域であって当該地域の営業所のみで処理されたことが明らかな場合等、必要に応じて地域を絞って処分が行われることがあります。
しかし、役員等が不正行為等を行ったときは、代表権の有無にかかわらず、地域を絞った処分は行われません。
②業種
監督処分は、基本的には業種を限定せずに行われます。ただし、①地域のケースと同様に、営業停止処分を行う場合において、不正行為等が他と区別された特定の工事の種別(土木、建築等)に係る部門のみで発生したことが明らかな場合等は、必要に応じ当該工事の種別に応じた業種についてのみ処分を行われることがあります。この場合においては、不正行為等に関連する業種について一括して処分を行うこととされており、原則として許可業種ごとに細分化した処分は行われません。
③請負契約に関する不正行為等に対する営業停止処分
これは公共工事(国、地方公共団体等が発注者である建設工事をいいます。)の請負契約に関して不正行為等を行った場合が該当します。また、当該公共工事について下請契約が締結されている場合には各下請契約も含まれます。
この場合、公共工事の請負契約に関して不正行為等を行った場合には公共工事のみにおいて、一方で公共工事以外の工事(民間工事)の請負契約に関して不正行為等を行った場合は公共工事以外の工事(民間工事)について、営業停止処分はそれぞれで行うこととされています。
3.まとめ
監督処分は、基本的には限定して行われることは無いとお伝えしました。例外的に限定されることがあるとお伝えしましたが、例えば一部の業種のみ処分が行われ他の業種に関しては通常営業ができるとしても、会社が処分を受けたことに変わりはありません。同業者や取引先への評判・信用が悪くなることが想定され、会社の経営に影響が出ると思います。
処分を受けるという事実が生じないように社内教育等をしていただきたいです。
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行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。