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  1. 監督処分の基準
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【監督処分の基準】不正行為等が複合する場合

令和2年10月の建設業法の改正に伴い「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(監督処分基準)」が改正されました。改正された部分はもちろんのこと、この基準の内容を解説し、建設業法令遵守にお役立ていただきたいと思います。

本日は、不正行為等が複合する場合の監督処分について取り上げます。

1.一の不正行為等が二以上の処分事由に該当するケース

一の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合には、2つの処分のうちより重い処分が課せられることになります。

2.複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当するケース

1.のケースと異なり、不正行為等が複数あり、それによっていくつもの処分事由に該当するケースです。3つのパターンで見てみましょう。

①複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合で、それぞれが営業停止処分事由に該当する場合
この場合には、それぞれの営業停止期間を合算しその合計が営業停止の期間となります。また、複数の不正行為によって三以上の営業停止処分事由に該当するような場合には、情状によって、さらに加重されることがあります。

②複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合で、ある行為は営業停止処分事由に該当し、他の行為は指示処分事由に該当する場合
この場合には、営業停止処分と指示処分それぞれを別々に課せられます。

③複数の不正行為等が二以上の処分事由に該当する場合で、それぞれが指示処分事由に該当する場合
この場合には、原則として指示処分が課せられます。ただし、不正行為等が建設業法第28条第1項各号のいずれかに該当する場合、不正行為等の内容や程度によっては、営業停止処分が課せられる場合があります。

(指示及び営業の停止)
第二十八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定(第十九条の三、第十九条の四、第二十四条の三第一項、第二十四条の四、第二十四条の五並びに第二十四条の六第三項及び第四項を除き、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号。以下「入札契約適正化法」という。)第十五条第一項の規定により読み替えて適用される第二十四条の八第一項、第二項及び第四項を含む。第四項において同じ。)、入札契約適正化法第十五条第二項若しくは第三項の規定若しくは特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成十九年法律第六十六号。以下この条において「履行確保法」という。)第三条第六項、第四条第一項、第七条第二項、第八条第一項若しくは第二項若しくは第十条の規定に違反した場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。特定建設業者が第四十一条第二項又は第三項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときも、同様とする。
一 建設業者が建設工事を適切に施工しなかつたために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。
二 建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。
三 建設業者(建設業者が法人であるときは、当該法人又はその役員等)又は政令で定める使用人がその業務に関し他の法令(入札契約適正化法及び履行確保法並びにこれらに基づく命令を除く。)に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
四 建設業者が第二十二条第一項若しくは第二項又は第二十六条の三第八項の規定に違反したとき。
五 第二十六条第一項又は第二項に規定する主任技術者又は監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。
六 建設業者が、第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したとき。
七 建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上となる下請契約を締結したとき。
八 建設業者が、情を知つて、第三項の規定により営業の停止を命ぜられている者又は第二十九条の四第一項の規定により営業を禁止されている者と当該停止され、又は禁止されている営業の範囲に係る下請契約を締結したとき。
九 履行確保法第三条第一項、第五条又は第七条第一項の規定に違反したとき。

3.複数の不正行為等が一の処分事由に2回以上該当するケース

このケースは2つのパターンを見てみましょう。

①複数の不正行為等が一の営業停止処分事由に2回以上該当する場合
この場合には、営業停止の期間を2分の3倍に加重して営業停止処分が課せられます。

②複数の不正行為等が一の指示処分事由に2回以上該当する場合
この場合には、原則として指示処分が課されます。ただし、2.のケースの③と同様に、建設業法第28条第1項各号のいずれかに該当する場合、不正行為等の内容や程度によって営業停止処分が課せられる可能性があります。

4.まとめ

不正行為等が複合するケースというのは、実際多く存在するものだと思います。そして、このようなケースは、情状によっては処分の加重や軽減が行われ、その裁量は監督処分等にあるように見受けられます。
1つの不正行為に気づいたときには、視野を広げて他の不正行為も行われていないか、チェックするようにしていただくと良いと思います。

 

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