今回のご相談は、企業集団確認申請に関するご相談です。
相談者様の情報
会社名 | H社様 |
建設業許可 | 国土交通大臣許可 特定 |
本社 | - |
売上高 | 約800億円(単独) |
相談内容
H社様は、戸建住宅、マンション、リフォーム等まで手掛けられる総合住宅メーカーであり、日本全国に販売会社があります。そのため、H社様の従業員の方で、全国の販売会社様に在籍出向をされる方が多くいらっしゃいます。しかしながら、建設工事現場の監理技術者・主任技術者は、出向社員が認められていないため、せっかく資格や経験を持つ従業員の方を在籍出向させても、監理技術者・主任技術者になれないというお悩みを抱えていらっしゃいました。そこで、使った方法が「企業集団確認申請」です。
まずは、監理技術者・主任技術者が出向社員は認めらない根拠を確認しておきたいと思います。
監理技術者・主任技術者に求められる雇用関係とは?
監理技術者・主任技術者は出向社員では認められないと説明をさせていただきましたが、その根拠は「監理技術者制度運用マニュアル」に記載されています。
建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については、当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であり、このような雇用関係は、資格者証又は健康保険被保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要である。
「当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要」という部分が出向社員は認められないという根拠になります。「直接的な雇用関係」と「恒常的な雇用関係」については次のとおりです。
※「直接的な雇用関係」とは?
監理技術者等とその所属する建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇用をいいます。つまり、一定の権利義務関係が存在することです。具体的には、「在籍出向者」や「派遣社員」は、建設業者との間に直接的な雇用関係があるとはいえません。
※「恒常的な雇用関係」とは?
一定の期間にわたり建設業者に勤務し、日々一定時間以上職務に従事することが担保されていることをいいます。国・地方公共団体等が発注する建設工事においては、元請建設業者の専任の監理技術者等については、所属する建設業者から入札の申し込みがあった日以前に、3か月以上の雇用関係があることを求めています。
»【監理技術者制度運用マニュアル】監理技術者等の雇用関係について
在籍出向社員については、出向先の建設業者との間に「直接的な雇用関係」がないため、監理技術者・主任技術者にはなることができないのです。しかしながら、実際はグループ企業などで、人事交流や人材育成等を目的とし、在籍出向はよく使われるため、在籍出向社員が監理技術者・主任技術者として使えないとなると不便です。それを解決できる方法が「企業集団確認申請」です。
企業集団確認申請とは?
企業集団確認申請の概要については、以前ブログでご紹介していますので、そちらをご覧ください。
»「出向社員を主任技術者等として配置する方法【企業集団確認申請】」
支援の内容
行政書士法人名南経営では、H社様の企業集団確認申請について、「要件適合性の確認」「国土交通省への事前相談」「確認資料の精査」「申請書の作成」「国土交通省への申請代行」についてサポートをさせていただきました。
企業集団確認申請は、対象となるグループ会社が連名で申請内容について承認を行い、親会社が申請を行う必要があります。H社様は、企業集団確認申請の対象となるグループ会社が約15社あったため、要件適合性の確認、確認資料の精査は特に慎重に行いました。
H社様は、無事に国交省の確認を受け、在籍出向社員の方も監理技術者・主任技術者として認められるようになりました。企業集団確認申請は、1年ごとの更新手続きが必要になるため、その後の更新のお手続きもご依頼をいただいております。
同じようなお悩みをお持ちの建設業者様は、是非企業集団確認申請の手続きをご検討ください。行政書士法人名南経営でも全国のお手続きのサポートをしておりますので、お気軽にご連絡ください。

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。