建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

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【建設業法令遵守ガイドライン】下請代金の支払い~下請代金の支払方法

令和2年10月の建設業法の改正に伴い「建設業法令遵守ガイドライン」も改訂されました。改訂された部分を中心に、建設業法令遵守のために注意すべき事項を見ていきます。

事例

Case1.下請代金の支払を全額手形払いで行った。
Case2.労務費相当分に満たない額を現金で支払い、残りは手形で支払った。

これらは、建設業法第24条3第2項の規定から望ましくない行為に該当します。(違反行為ではなく、違法性があるわけではありません。)

下請代金の支払
第二十四条の三 (第1項、省略)
2 前項の場合において、元請負人は、同項に規定する下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならない。
(第3項、省略)

労務費とは?

労務費は人件費のことと理解されてる方が多いと思います。しかし、労務費とは人件費のことだけではありません。
労務費=人件費+各種賞与+法定福利費
「人件費」とは、製品等の製造に関わる従業員の給与です。建設業で置き換えると、建設工事に関わる従業員の給与を指していることになります。
「法定福利費」とは、健康保険や雇用保険などの社会保険料です。

現金とは?

下請代金の支払を「現金」で行うようにとありますが、ここでいう現金とは紙幣等の現金そのものだけではなく、銀行振込や小切手も「現金」に含まれます。つまり、すぐに現金化できるものは現金と同じ扱いとされます。
一方で「手形」は、現金化するまでに一定の期間が必要です。現金にしたいときに現金化できるものではないため、手形払いは現金払いに含まれません。

適切な配慮とは?

建設業法第24条の3第2項で、現金で支払うよう「適切な配慮」をすることを求めています。まず、この規定は「現金払い」を義務としているわけではないことを覚えておいてください。義務規定ではないため、現金払いをしていなくても建設業法違反となることはありません。(ただし、立入検査で指導の対象とはなっているようです。)

ここでポイントとなるのが「配慮」です。これは「下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づく振興基準」(昭和46年3月12日通商産業省告示第82号)および「下請代金の支払手段について」(平成28年12月14日付20161207中第1号・公取企台140号)において、下請代金の支払をできる限り現金で行うこととしており、それを踏まえて建設業法にも新たに規定したというものです。(改正によって新設された条文です。)

いずれも現金払いを義務としていないので、建設業法でも義務ではなく配慮をお願いする規定となっています。

その他、支払手段の留意点

1.手形等により下請代金を支払う場合には、手形を現金化した際にかかる割引料等の費用を下請業者に負担させることが無いようにすること。
2.手形等により支払代金を支払った場合には、手形の振出日から支払期日までの日数(手形のサイト)をできるだけ短縮するように努め、将来的には60日以内とすること。

下請代金の支払については、下請業者の雇用に直接影響を及ぼすものです。お金の回りが悪くなると下請業者は雇用を安定できない、従業員を雇えないとうの弊害が生じます。

前回のブログ【建設業法令遵守ガイドライン】下請代金の支払~支払保留・支払遅延 と併せて、下請代金の支払に関するルールを理解し、遵守するようにしましょう。

 

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