建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

  1. 工期に関する基準
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【工期に関する基準】背景には建設業界の問題点

令和2年7月、中央建設業審議会において作成された「工期に関する基準」を、数回に分けて詳しく見ていきます。

建設業界の問題点

建設業界では長時間労働がずっと問題視されていました。
通常であればもっと工期を長くするべき工事において短い工期で請負契約を締結し、その結果、1日の労働時間を長くしなければ契約工期に間に合わないということが起きています。
また、工事内容を変更し追加工事が発生しても、工期変更は行わないというケースもあるようです。
建設工事では、1つの工事に発注者・元請業者・下請業者と様々な業者が関与しています。関与する建設業者全体で長時間労働の是正を行わなければ改善されないため、他業種と比較しても、建設業界の長時間労働は改善されていません。

働き方改革の推進

平成31年4月1日に働き方改革関連法が施行され、どの業界でもこれまでの働き方を見直すことになりました。時間外労働の限度に関する基準が設けられ違反すれば罰則対象となるため、残業時間の短縮を行う企業が多く見受けられました。
建設業界ではこの規定に対し一定の猶予期間が設けられており、提要は令和6年4月1日からとなっています。
まだ時間があるように思われますが、建設業界に根付いた働き方や考え方を変えることは非常に困難です。そのため、国等が動き、建設業法の改正や工期に関する基準の作成を行ったのです。

建設業法改正との関係

令和2年10月1日より改正建設業法が施行されました。工期に関する規定がいくつも設けられています。

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
一~三 省略
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
以下、省略

(著しく短い工期の禁止)
第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。

(建設工事の見積り等)
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
以下、省略

(工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供)
第二十条の二 建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を提供しなければならない。

(中央建設業審議会の設置等)
第三十四条 省略
2 中央建設業審議会は、建設工事の標準請負契約約款、入札の参加者の資格に関する基準、予定価格を構成する材料費及び役務費以外の諸経費に関する基準並びに建設工事の工期に関する基準を作成し、並びにその実施を勧告することができる。

「工期に関する基準」は中央建設業審議会で作成される

建設業法第34条第2項には、中央建設業審議会が、「工期に関する基準」を作成することができると規定されています。
改正によって追加された工期に関する建設業法の規定に違反しないためにも、そもそも工期を適正にして長時間労働とならないようにするためにも、令和2年7月に作成された「工期に関する基準」は重要な意味があります。

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