建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

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【相談事例】無許可の業種についての主任技術者の配置について

「建設業者が、建設工事を施工する場合には、主任技術者を置かなければならない。」ということをご存じの方は多いと思います。この根拠は建設業法第26条にあります。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
(以下省略)

先日お客様からいただいたご相談は「建設業許可は持っているが、許可を持っていない業種の軽微な建設工事にまで主任技術者を配置する必要があるか?」というものです。

例えば、とある建設業者A社の建設業許可保有状況が下表のとおりだったとします。

■A社の建設業許可保有状況(◎が特定建設業許可、○が一般建設業許可)

特定 土木、建築、とび・土工、電気、管、鋼構造物、舗装、塗装、防水、電気通信、水道施設
一般 内装仕上、消防施設

ご相談の内容は、上表のような許可保有状況において、例えば、許可のない大工工事の軽微な建設工事を請け負う場合にも主任技術者を配置する必要があるか?ということです。

※ここからは行政書士法人名南経営の見解をご説明します。

「建設業者」とは?

冒頭でご覧いただいた建設業法第26条からは、建設業者は工事現場に主任技術者を置かなければならないと読み取ることができます。では、主任技術者を置かなければならない「建設業者」とはどのような業者のことを言うのでしょうか?これは建設業法第2条に定義が載っています。

(定義)
第二条 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
3 この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
(以下省略)

つまり「建設業者 = 建設業許可業者」ということです。29業種ある建設業許可のうち1業種でも許可を受けていれば「建設業者」となるのでしょうか?そうだとすれば、許可・無許可の区分に関係なく、主任技術者の配置が必要になると解釈できそうですが、この点はどうでしょうか。

「建設業者」は業種ごとに判断する

建設業法第2条第3項では「「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。」と規定されています。次に、この「第三条第一項の許可」とは何かを見てみます。

(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
一 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの
2 前項の許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとする。
(以下省略)

建設業法第3条第2項を読むと「別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとする。」とあります。「別表第一の上覧に掲げる建設工事の種類」とは、29種類の建設工事のことです。建設業許可は29の業種ごとに与えられているということになります。

結論

ここまでの説明をまとめると、

    • 建設業者 = 建設業許可業者
    • 建設業許可は、建設工事の種類ごとに分けて与えられる

ということから、「建設業者であるか否かは、29業種のうち許可を保有している業種ごとに判断する」と考えられます。つまり、A社が、許可のない大工工事について軽微な建設工事を請け負った場合には、その工事においては「建設業者」に該当せず、主任技術者の配置は不要ということになります。

※これはあくまでも行政書士法人名南経営の見解ですので、ご注意ください。

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