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建設業者に下請法の適用はあるか?建設業法との違いは?

下請法と建設業法の違い

下請取引を規制する法律として下請法(下請代金支払遅延等防止法)は有名で、ご存知の方も思います。しかしながら、建設業者に密接に関連する建設業法も下請取引が規制の対象となっています。建設業者の取引にはどちらの法律が適用されるのでしょうか?

下請法と建設業法は、その目的はもちろんのこと、それぞれ規制対象となる取引内容、事業者が異なります。この記事では、下請法と建設業法の違いについて解説をしていきます。

下請法とは

下請法は、下請取引の公正化・下請事業者の利益保護を目的として制定された法律です。下請法の対象となる取引は事業者の資本金規模と取引の内容で定義されています。

下請法で定められている取引は、主に次の4つです。

  1. 物品の製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物の作成委託
  4. 役務提供委託

下請法の対象となる取引内容と事業者の定義


出典:公正取引委員会「下請法の概要」https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/gaiyo.html

また、上記の定義に当てはまる親事業者に対して、取引の進行や支払いに関する義務と禁止事項を定めています。親事業者に対する義務や禁止事項により、下請業者の保護を行っています。

親事業者の義務

義務 概要
書面の交付義務(3条) 発注の際は、直ちに3条書面を交付すること。
下請代金の支払期日を定める義務(2条の2) 下請代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること。
遅延利息の支払い義務(4条の2) 支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと。
書類の作成・保存義務(5条) 下請取引の内容を記載した書類を作成し、2年間保存すること。

親事業者の禁止事項(4条)

禁止事項 概要
受領拒否の禁止(1項1号) 注文した物品等の受領を拒むこと。
下請代金の支払遅延の禁止(1項2号) 下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。
下請代金の減額の禁止(1項3号) あらかじめ定めた下請代金を減額すること。
返品の禁止(1項4号) 受け取った物を返品すること。
買いたたきの禁止(1項5号) 類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。
購入・利用強制の禁止(1項6号) 親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。
報復措置の禁止(1項7号) 下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して,取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。
有償支給原材料等の対価の早期決裁の禁止(2項1号) 有償で支給した原材料等の対価を,当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。
割引困難な手形の交付の禁止(2項2号) 一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。
不当な経済上の利益の提供要請(2項3号) 下請事業者から金銭,労務の提供等をさせること。
不当な給付内容の変更・やり直しの禁止(2項4号) 費用を負担せずに注文内容を変更し,又は受領後にやり直しをさせること。

 

建設業法とは

建設業法は、適正な施工の確保・発注者の保護を目的として制定された法律です。

建設業法の対象となる取引は「建設工事の請負契約」に限定されています。また、下請法とは異なり、建設業法には、事業者の資本規模の定義はありません。さらに、元請・下請間の取引だけでなく、発注者・元請間の取引も対象とされています。

事業者の資本規模に関わらず、元請負人となった場合には、次のような義務や禁止事項があります。

元請負人の義務・禁止事項

義務 概要
下請負人の意見の聴取(第24条の2) 工程の細目や作業方法等に関して、下請負人の意見を聞くこと。
下請代金の支払(第24条の3) 支払を受けた日から1ヶ月以内でできる限り短い期間内に下請代金を支払うこと。
検査及び引渡し(第24条の4) 下請負人から完成通知を受けた日から、20日以内で、できる限り短い期間内に検査をすること。完成確認後、直ちに引渡しを受けること。
不利益取扱いの禁止(第24条の5) 下請負人が、元請負人の違反行為を公正取引委員会や国土交通大臣等に知らせたことを理由として、下請負人に対し取引停止等の不利益な取扱いをしてはならないこと。
特定建設業者の下請代金の支払期日等(第24条の6) 特定建設業者は、下請負人の申し出の日から起算して50日以内で、できる限り短い期間内に支払わなければならないこと。
下請負人に対する特定建設業者の指導等(第24条の7) 元請の特定建設業者は、下請負人が建設業法、建築基準法、労働基準法、労働安全衛生法などの諸法令に違反しないように指導に努めなければならないこと。
施工体制台帳及び施工体系図の作成等(第24条の8) 元請の特定建設業者は、下請代金の総額が4,500万円(建築一式7,000万円)以上となる場合は、施工体制台帳及び施工体系図を作成しなければならないこと。

詳しくは「建設業法における元請負人の義務とは?7つの義務について解説」にて解説しております。

 

建設工事には下請法の適用がない

建設業法は、目的として、下請負人の利益の保護を規定していません。しかしながら、下請負人を保護する規定が多く存在するため、建設工事の請負契約は下請法の対象外とされています。

下請法の中で、次のように規定されています。

(定義)
第二条
(~中略~)
4 この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第二項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。
(~以下省略~)

建設業を営む者が、業として請け負った「建設工事」の全部又は一部を、他の建設業を営む者に請け負わせる場合には、下請法の適用がないということです。

 

建設業者でも下請法が適用されるケースがある

下請法の「役務提供委託」から除かれているのは、「建設業」ではなく、あくまでも「建設工事」です。そのため、建設業者であったとしても、下請法で規定されている取引に該当する取引を行う場合には下請法の適用があります。

例えば、建設業者がビルのメンテンナンスを請け負い、メンテナンスの一部であるビルの清掃業務を清掃業者に委託する場合は、下請法の「役務提供委託」に該当し、下請法が適用されることになります。

 

まとめ

  • 下請法で定められている取引は、主に「物品の製造委託」「修理委託」「情報成果物の作成委託」「役務提供委託」の4つで、「建設工事」には下請法の適用はない。
  • ただし、建設業者でも下請法で規定されている取引に該当する取引を行う場合には下請法の適用がある。

建設工事には下請法の適用はありませんが、建設業者に下請法の適用がないというわけではありません。建設工事以外の取引の場合は、下請の事業者と行う取引が下請法の適用対象となる取引でないか、しっかり確認したうえで取引を行うようにしましょう。

 

     
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