建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

  1. 用語解説
  2. 199 view

建設業法における下請代金の支払期日とは?

下請代金の支払期日のルールには2種類

元請負人から下請負人に対して、下請代金が適正に支払われなければ、下請負人の経営の安定が阻害されるばかりでなく、手抜き工事や労災事故等を誘発し、建設業法の目的である建設工事の適正な施工の確保が困難になりかねません。そのため、建設業法には、工事の適正な施工と下請負人の保護のため、下請代金の支払に関するルールが設けられています。

下請代金の支払に関するルールは、「建設業者の下請代金の支払ルール」(https://gyousei-meinan-kensetsu.com/%e7%94%a8%e8%aa%9e%e8%a7%a3%e8%aa%ac/5774/)をご確認ください。

今回は下請代金の支払ルールのなかでも、支払期日に焦点を当てて解説します。
下請代金の支払期日に関するルールには次の2種類が存在します。

①すべての元請負人に適用される支払期日のルール
②特定建設業者にのみ適用される支払期日のルール

それぞれのルールについて、どのような違いがあるのか解説します。

①すべての元請負人に適用される支払期日のルール

元請負人は、注文者から請負代金の出来高払いまたは竣工払いを受けたときは、その支払いの対象となった工事を施工した下請負人に対して、相当する下請代金を1ヶ月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないというルールです。

▼建設業法
(下請代金の支払)
第二十四条の三 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
(以下省略)

「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者(建設業許可業者)であるもののことをいいます。つまり、発注者(施主)から直接請け負った発注者だけでなく、一次下請業者や二次下請業者も、さらに下位の下請業者に対して注文をする場合は、その下請業者との間においては元請負人の立場となります。

■元請負人の定義


出典:関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法」(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf)

「①すべての元請負人に適用される支払期日のルール」は、下請業者の立場であっても、さらに下位の下請業者に対して注文をする場合には、守らなければならないルールとなっています。元請業者だけが守ればよいルールではないので注意しましょう。

■上位注文者から支払を受けたときの下請代金の支払フロー


出典:中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて」(https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/info/qa/pdf/R0509/R0509_000_tekiseinasekounokakuho.pdf)

②特定建設業者にのみ適用される支払期日のルール

特定建設業者は、下請負人からの引渡し申出日から起算して50日以内に、下請代金を支払わなければならないというルールです。

▼建設業法
(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
第二十四条の六 特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第二十四条の四第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。
(以下省略)

特定建設業者である元請負人は、注⽂者から⽀払いを受けたか否かにかかわらず、⼯事完成の検査後、下請負⼈から⼯事⽬的物の引渡しの申出があったときは、申出の⽇から50⽇以内に、当該下請負人に対して下請代⾦を⽀払わなければなりません。なお、このルールにおける下請負人には、特定建設業者または資本金4,000万円以上の法人は含まれません。

特定建設業者については、②のルールのみが適用されるわけではなく、①と②のルールの両方が適用されることになります。そのため、いずれか支払期日を早く迎えるルールに則って支払をすることになります。

■②が適用されるケース

■①が適用されるケース

まとめ

  • 下請代金の支払ルールには2種類存在する。
  • ①すべての元請負人に適用される支払期日のルール
    元請負人は、注文者から請負代金の出来高払いまたは竣工払いを受けたときは、その支払いの対象となった工事を施工した下請負人に対して、相当する下請代金を1ヶ月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
  • ②特定建設業者にのみ適用される支払期日のルール
    特定建設業者は、下請負人(特定建設業者または資本金4,000万円以上の法人を除く。)からの引渡し申出日から起算して50日以内に、下請代金を支払わなければならない。
  • 特定建設業者は①②のいずれか早い方で支払わなければならない。

■支払ルールまとめ


出典:関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法」(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf)

 

     
    建設業を営むうえで、必ず守らなければならない建設業法。建設業法違反には、罰則や監督処分といった制裁があり、建設業の経営において多大な影響を与えるリスクがあります。
    そこで、本資料では、建設業法の遵守においてチェックしたいポイントを4つにまとめて解説しました。
    (※お申込み頂いたアドレス宛に、弊社メルマガをお送りいたします。)
     

    個人情報保護方針はこちら

    This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

    用語解説の最近記事

    1. 建設業法における書類の保存期間とは?

    2. 契約の内容に変更が生じた場合に変更契約は必要なのか?建設業法をもとに解説

    3. 建設業法における下請代金の支払期日とは?

    4. 建設業許可が必要な請負金額とは?建設業法を基に解説

    5. 工事請負契約時に注文請書は必要なのか?建設業法をもとに解説

    関連記事

    資料ダウンロード

       
      建設業を営むうえで、必ず守らなければならない建設業法。建設業法違反には、罰則や監督処分といった制裁があり、建設業の経営において多大な影響を与えるリスクがあります。
      そこで、本資料では、建設業法の遵守においてチェックしたいポイントを4つにまとめて解説しました。
      (※お申込み頂いたアドレス宛に、弊社メルマガをお送りいたします。)
       

      個人情報保護方針はこちら

      This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.