建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

  1. 用語解説
  2. 389 view

建設業許可が必要な請負金額とは?建設業法を基に解説

建設工事は、建設業許可を取得している場合と取得していない場合で、請負代金の上限が異なります。
・建設業許可を取得していない場合
・特定建設業許可を取得した場合
・一般建設業許可を取得した場合
こちらの3つの場合に分けて、それぞれのケースで請け負うことのできる工事について解説をしていきます。

軽微な建設工事では建設業許可が不要

軽微な建設工事のみを請け負う場合には、建設業許可を取得する必要はありません。逆に言うと、建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いて、建設業許可が必要です。

軽微な建設工事とは以下に該当する工事をいいます。

建設工事の種類 軽微な建設工事
建築一式工事 次のいずれかに該当する工事
①工事1件の請負金額の額が1,500万円(税込)未満の工事
②請負代金の額に関わらず、延べ面積が150㎡未満の木造住宅を建設する工事
建築一式工事以外の工事 建築一式工事以外の工事 工事一件の請負代金の額が500万円(税込)未満の工事
材料費は請負代金に含む

請負代金の500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)という金額には、材料費を含めて考えます。

建設業法施行令 第1条の2(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第3項 注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを第一項の請負代金の額とする。

工事に必要となる材料を注文者が用意し提供する場合がありますが、その場合には、提供された材料の市場価格を請負代金に含めて、軽微な建設工事に該当するか否かの判断を行うことになります。また、材料の提供にあたり運送費がかかった場合には、その価格も請負代金に含めて判断します。

消費税は請負代金に含む

請負代金の500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)という金額には、消費税も含めて考えます。

契約書を分割しても1つの契約として判断される

建設工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは、原則として各契約の請負金額の合計額で軽微な建設工事に該当するか否かの判断を行います。
「請負代金が500万円未満となるように契約書を分割したらよいのでは?」と考える方がいらっしゃいますが、契約書を分割したとしても建設業許可が不要になるわけではありませんので注意が必要です。

下請業者への発注金額によって必要な建設業許可が異なる

1件でも軽微な建設工事以外の工事を請け負おうとする場合には、建設業許可が必要となりますが、建設業許可には「特定建設業許可」と「一般建設業許可」の区分があります。どのような立場でどのような工事を行うのか、によって必要な許可が異なります。

出典:中部地方整備局 建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて(令和5年9月 改訂)

特定建設業許可が必要な工事

発注者から直接(元請として)請け負った1件の工事について、下請代金の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)(税込)以上となる工事を請け負おうとする場合には、特定建設業許可が必要です。

下請代金の額に材料費は含まない

特定建設業許可が必要か否かを判断する場合における下請代金の額には、元請負人が下請負人へ提供する材料等の価格は下請代金に含みません。

建設業許可事務ガイドライン【第3条関係】
4.令第2条の「下請代金の額」について
発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、元請負人が4,500万円(建築一式工事にあっては7,000万円)以上の工事を下請施工させようとする時の4,500万円には、元請負人が提供する材料等の価格は含まない。

下請代金の額に消費税は含む

下請代金の4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)という金額には、消費税も含めて考えます。

このように、特定建設業許可が必要な工事であるか否かの判断方法は、軽微な建設工事であるか否か(建設業許可が必要な工事か否か)の判断方法とは異なりますので、注意が必要です。

【請負代金に含まれるもの】

特定建設業許可 軽微な建設工事
下請代金の総額が4,500万円以上 500万円未満
消費税及び 地方消費税 含む 含む
提供された 資材の価格 含まない 含む

一般建設業許可が必要な工事

発注者から直接(元請として)請け負った1件の工事について、下請代金の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)(税込)未満となる工事を請け負おうとする場合や、下請の立場でのみ工事を請け負おうとする場合には一般建設業許可を取得します。つまり一般建設業許可とは、特定建設業許可を受けようとする以外のものが取得する許可となります。

一般建設業許可の場合は、元請として請け負った工事における下請代金の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満という制限はありますが、受注する金額には制限がありません。受注した工事のほとんどを自社施工して、下請代金の総額を4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満とすれば、一般建設業許可であっても金額の大きい工事を受注することができます。
また下請の立場で工事を請け負う場合には、一般建設業許可であっても下請代金の総額に関わらず工事を受注することができます。

まとめ

このように建設業許可の要否、特定建設業許可/一般建設業許可の要否については、基準とされる金額だけでなく、判断方法も異なります。
それぞれの判断方法をしっかりと理解したうえで、適切な建設業許可を取得し、営業していくことが大切です。

 

     
    建設業を営むうえで、必ず守らなければならない建設業法。建設業法違反には、罰則や監督処分といった制裁があり、建設業の経営において多大な影響を与えるリスクがあります。
    そこで、本資料では、建設業法の遵守においてチェックしたいポイントを4つにまとめて解説しました。
    (※お申込み頂いたアドレス宛に、弊社メルマガをお送りいたします。)
     

    個人情報保護方針はこちら

    This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

    用語解説の最近記事

    1. 建設業法における書類の保存期間とは?

    2. 契約の内容に変更が生じた場合に変更契約は必要なのか?建設業法をもとに解説

    3. 建設業法における下請代金の支払期日とは?

    4. 建設業許可が必要な請負金額とは?建設業法を基に解説

    5. 工事請負契約時に注文請書は必要なのか?建設業法をもとに解説

    関連記事

    資料ダウンロード

       
      建設業を営むうえで、必ず守らなければならない建設業法。建設業法違反には、罰則や監督処分といった制裁があり、建設業の経営において多大な影響を与えるリスクがあります。
      そこで、本資料では、建設業法の遵守においてチェックしたいポイントを4つにまとめて解説しました。
      (※お申込み頂いたアドレス宛に、弊社メルマガをお送りいたします。)
       

      個人情報保護方針はこちら

      This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.