建設業者に関係する建設業法等の法令に関する情報を紹介

  1. 用語解説
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建設業のコンプライアンス

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、「法令遵守」と訳されることが多いですが、法令だけでなく、一般的に、企業や個人が倫理、社会的ルールなどを守ることも含まれます。

■コンプライアンスの概念

コンプライアンスを守ることは、事故や違法行為を防ぎ、企業の信頼性を高めることにもつながります。また、違反が発覚した場合には、罰則や社会的な信用失墜などのリスクがあるため、コンプライアンスは企業にとって非常に重要な課題です。

某中古車販売店や某アイドル事務所など、コンプライアンス違反の不祥事に起因する分社化でのリスタートが記憶に新しいですが、これらの事案のように、近年ではコンプライアンス違反で企業が経営破綻に追い込まれる時代です。企業におけるコンプライアンスへの取組みは重要視されるようになってきています。

建設業のコンプライアンス

建設業においては、建設工事の品質を確保し、安全な作業環境を提供すること、そして公正な取引を行うことなどがコンプライアンスの一環となります。具体的には、法令遵守のための体制を整え、関連する法令を理解し、それに従って行動することが求められます。

①建設業者が遵守すべき法令

建設業に関連する法令は、次のようなものがあります。

・建設業法
・建築基準法
・宅地造成等規制法
・労働基準法
・職業安定法
・労働安全衛生法
・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)

なかでも建設業者が特に意識したい法令は「建設業法」です。
建設業法は、「業法」と呼ばれる業種ごとの基本的な事業要件を定める法律のひとつです。公共の福祉を保つ観点から、建設業許可制度により、営業の自由に一定の制約がかけられています。また、所管省庁である国土交通省が監督し、建設業法違反の場合には法的責任に問われる場合があります。

建設業のコンプライアンスといえば、建設業法令遵守といっても過言ではないでしょう。

②建設業法の概要

建設業法は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによって、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。

建設業法は、第1章から第8章で構成されています。

第1章 総則
第2章 建設業の許可
第3章 建設工事の請負契約
第3章の2 建設工事の請負契約に関する紛争の処理
第4章 施工技術の確保
第4章の2 建設業者の経営に関する事項の審査等
第4章の3 建設業者団体
第5章 監督
第6章 中央建設業審議会等
第7章 雑則
第8章 罰則

どれも建設業者にとって関係のあるものですが、建設業者が特に注意すべき事項をまとめると下図のようになります。

■建設業法の概要

出典:関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法」(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf)

「許可制度」「技術者制度」「請負契約の適正化」「経営事項審査」「監督処分等」と大きく5つの事項に分かれます。それぞれの概要について見ていきたいと思います。

1.許可制度
建設業者の資質の向上を目的として、建設業許可の要件や、建設業の種類(土木工事業、建築工事業等)、特定建設業・一般建設業、国土交通大臣許可・都道府県知事許可などの許可の種類について規定されています。

2.技術者制度
施工技術の確保のため、業種ごとに工事現場に、監理技術者や主任技術者といった技術者を設置することが規定されています

3.請負契約の適正化
発注者や下請負人の保護等のため、施工体制台帳の作成などの元請負人の義務や、公正な請負契約の締結義務、請負契約の書面締結義務などが規定されています。

4.経営事項審査
公共工事の元請になろうとする建設業者に受審を義務付けている経営事項審査について規定されています。

5.監督処分等
法令遵守の実効性の担保のため、勧告等の行政指導や監督処分(指示、営業停止、許可取消)、罰則について規定されています。

コンプライアンスのためにすべきこと

ここからは、建設業者がコンプライアンスのためにすべきこと、特に建設業法令遵守のためにすべきことを解説していきます。取り組みやすいものからご紹介します。

①コンプライアンス研修の実施

従業員向けの建設業法に関する社内研修です。
建設業法のコンプライアンス研修は、建設が法令を遵守し、適正な業務を行うための知識と理解を深めるための研修です。具体的には、建設業法の基本的な内容、違法行為を防ぐためのコンプライアンスの重要性などについて学びます。

コンプライアンス研修には、弊社サービスの「建設業法コンプライアンス研修」がおすすめです。
https://gyousei-meinan-kensetsu.com/service/kensyu/
この研修を通じて、建設業者は法令違反による監督処分や信用失墜のリスクを避け、企業の信頼性を高めることができます。

②法令遵守状況のチェック

法務担当者等が、各営業所を巡回し、保管書類などを確認して、建設業法令を適切に遵守しているかを確認することです。

法令遵守状況のチェックには、弊社サービスの「模擬立入検査」がおすすめです。
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弊社の行政書士が実際の国土交通省地方整備局等の立入検査を想定した形で行います。この模擬立入検査により、建設業者は自社のコンプライアンス体制を見直し、必要に応じて改善策を講じることができます。

③コンプライアンスマニュアルの作成

建設業法令に関するコンプライアンスマニュアルの作成です。建設業者が法令遵守のために従うべき手順やルールを文書化したマニュアルを作成します。

コンプライアンスマニュアルの作成には、弊社サービスの「建設業法令遵守マニュアル」がおすすめです。
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建設業法令遵守のためには、建設業者の社員が日常業務において建設業法違反をしないことが最も大事なことです。そのためには、社員の建設業法令遵守意識を定着させるため、普段の業務から意識付けできるツールが必要です。そのツールの一つとして挙げられるものが建設業法令遵守マニュアルです。国土交通省のガイドラインや都道府県が出している手引きは一般的な内容となっており、建設業者様の業務の実態に即した明確な答えが得られないことがあります。オリジナルの建設業法令遵守マニュアルを作成することで、社員全員の統一した判断や対応が可能となります。

まとめ

今回の内容のまとめです。

  1. 建設業のコンプライアンスは建設業法の遵守が重要!
  2. 建設業法には「許可制度」「技術者制度」「請負契約の適正化」「経営事項審査」「監督処分等」などの規定があり、建設業法に違反した場合は法的責任に問われることがある。
  3. 建設業法令遵守には「コンプライアンス研修の実施」「法令遵守状況のチェック」「コンプライアンスマニュアルの作成」などの取組みがおすすめ!

     
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